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宿研通信 1月号

他業種に学ぶ ビジネスコラム

コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は、本店を京都にかまえるジュエリーメーカー俄(にわか)をご紹介します。

今月のビジネス 俄の価値に学ぶ

付加価値をつくることが、
選ばれることにつながる

この厳しい時勢に収益を20%も伸ばしている
ジュエリーメーカー・ショップがあるのをご存知ですか?
先日京都に行く用があったので、
その足で友人でもある「俄(にわか)」の社長 青木氏を訪ねてきました。

なんとその俄、本店をあの安藤忠雄氏に依頼して建てたといいます。
京都には景観を守るための建築物の高さ制限があるため、
遠くからでも目立つ高い建物を建てるわけにはいきませんが、
俄の店舗はしっかりと存在を主張しています。

なぜ、この時勢にあって本店を新築したり、
売り上げを20%も伸ばしたりすることができたのでしょうか?

その秘密は“付加価値づくり”にあります。
俄は創業して30年ほどの、ブライダル向けのリングの製造・販売を行うジュエリーメーカーです。
社長の青木氏は職人あがりで、昔は自分の工房を持ち教室を開いたりしていました。
しかし、当初はあまり上手くいっていなかったそうです。
それが、バブルが崩壊した頃から職人の技術にデザイン性が加わり、
徐々に注目され始めたのです。

俄はジュエリーに対するこだわりだけでなく、その箱にまで独自の工夫を施しました。
具体的には、ふつうジュエリーのパッケージというと
ビロード地のものをイメージしますが、俄では焼き物を使っているのです。
そして、ジュエリーリングという洋風の商品でありながら、商品名は和風の名前に。
それにより、物語性が加わりさらにイメージは拡がっていきました。

高額の商品を買うとき、人はモノだけを買おうとするのではなく、
そこに付くイメージという付加価値を買っています。
そのイメージをいかに価値あるものとして演出するか、そこに俄の工夫があるのです。

また、俄でジュエリーを買った女性たちは、
その付加価値を当然のように友人に披露することに。
すると俄の様々なこだわりも口コミで伝播し、
それがブランディングとして作用し、浸透していきます。

俄の商品の平均価格は38万円ほど。
この価格帯、実はあのティファニーよりも高い。
通常のブライダルリングは30万円ほどが平均価格といわれているにも関わらず
俄の商品が選ばれるのは、買うに値する“理由”がしっかりとあるからなのです。

人がものを買うには理由が必要です。
それが高いものであればなおさら。
俄は商品へのイメージ・付加価値という選ばれるための理由を持っているからこそ、
この厳しい時勢でも価格を下げることもなく業績を伸ばしていけるのです。


ジュエリーメーカー俄(にわか)
ジュエリーメーカー俄(にわか)
 
 
 
 
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ(なかじませいじ)
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。