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宿研通信 4月号

他業種に学ぶ ビジネスコラム

コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回はパンの缶詰を作るメーカー、パン・アキモトをご紹介します。

今月のビジネス パン・アキモトの義力に学ぶ

これからのビジネスに
求められている義の力

未曾有の被害をもたらした東日本大震災。
被災者の方々の中には、今も避難所で不自由な生活を強いられている方が数多くいます。
今回は、そんな状況下で活躍した、パン・アキモトの救缶鳥のエピソードをご紹介します。

救缶鳥とは、通常3年を消費期限とするパンの缶詰を、購入から2年が経過した段階で回収し、
世界の飢餓地域に義援物資としてパンの缶詰を届けるというビジネスモデル
です。
本来の届け先はアフリカなどの飢餓地域ですが、人類史上、
類を見ない大災害が国内で起こってしまった今回、この救缶鳥がその力を発揮したのです。

もともと阪神大震災のとき、義援物資として送ったパンが現地でうまく配布されず、
腐らせてしまったという苦い経験から生まれたパンの缶詰。
当然、今回の震災直後にパン・アキモトの秋元社長は
被災地にパン缶を届けようとしたのですが、パン・アキモトの工場がある那須塩原も
今回の震災で被災し、十分な生産が行えない状況でした。

やっとのことで生産体制を整えたものの、
殺到する被災地向けの大量の注文にはさすがに対応しきれません。

「これは困った。被災地にパンの缶詰を届けようにも工場での生産が間に合わない」

そのとき、救缶鳥を備蓄していたKDDIから、
救缶鳥を被災地に届けて下さいとの連絡がパン・アキモトに入ったのです。

「そうだ。こんなときこその救缶鳥だ」

すでに被災地までパンの缶詰を運ぶルートは秋元社長が自衛隊と交渉し確保していました。
あとは、届けるべき救缶鳥が全国から集まるだけです。
そこで3月17日、救缶鳥を備蓄していただいている全国の方々に向けて、
被災地に届けるための協賛を呼びかけるハガキを配送。
結果、その呼びかけに応えてくれた全国の救缶鳥備蓄者から集まった救缶鳥を
見事被災地へと届けることができたのです。

このエピソードから感じられるのは救缶鳥というビジネスモデルが持つ“義力”。
ただのビジネスだけで終わらずに、社会性や多くの人の気持ちが込められた
商品やサービスは、義のネットワークを生み出します。

そして、有事の際に最も有効に機能するのが、この義のネットワークなのではないでしょうか。

今回ご紹介したパン・アキモトの救缶鳥は、先日開催された
ジャパン・ベンチャー・アワード2011で中小企業庁長官賞にも選ばれているビジネスモデル。

まさにこれからの時代の商品開発は、よい性能のものを開発するだけではなく、
義の精神をも視野に入れたものが求められているのではないでしょうか。


→救缶鳥について


パン・アキモト
ジャパン・ベンチャー・アワード2011
 
 
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ(なかじませいじ)
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。