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宿研通信 8月号

他業種に学ぶ ビジネスコラム

コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は全国チェーンのワタミグループをご紹介します。

今月のビジネス ワタミの素人力に学ぶ

業界の常識、マナーにとらわれない
自由な発想が功を奏する

素人だから-。

先日、ワタミグループの取締役会長である渡邉美樹さんに話を伺ったとき、
彼が繰り返し発していた言葉です。

「ワタミ」の創業者、学校の理事長、老人ホーム経営者、都知事選出馬…と
さまざまな顔を持つ彼ですが、その根本には常にこの“素人目線”があります。

彼は佐川急便に勤めた後、「ワタミ」を立ち上げましたが、
そのテーマは“銀座のクラブかのような居酒屋をつくりたい”というものでした。

居酒屋であっても、ひざをついてオーダーをとってくれる。
灰皿がたまっていたら上から空の灰皿を重ねて、静かに交換してくれる…。
安いのに質の高いサービスを提供できる居酒屋、
これこそ彼が求める新しい居酒屋だったのです。

また、偏差値が高いであるとか、親の見栄のための学校ではなく、
“いい人間”“目的を持って勉強に励んでくれる”、そういう生徒を育てたいという思いから、
やっとの思いで学校の理事長に。

厳しい校則や、生徒に目標を持たせる指導をしたのも、そういった思いに基づくものです。
そうすることで、生徒はいきいきと、またのびのびと日々を過ごすようになりました。

さらに、老人ホームの経営においても彼の“素人目線”が活かされています。
自分の親が年中おむつをしていたら。ずーっと車いす生活だったら。
…こんな目線で考えた末にたどり着いた高齢者施設が、渡邉流の老人ホームというわけです。

“自分の親も入れたくなるような老人ホーム”は、
結果的に行列ができる老人ホームになりました。

どの業界でも、その中にいると客観的目線が効かなくなってしまいます。
業界の常識についついとらわれて、
自由な発想や素直な行動ができなくなっているということです。

だから渡邉氏のように、“素人目線”が奏功することになります。

ターゲットにとって本当にいいことは?
お金を出す人にとって本当にいいことは?
自分たちの都合や業界のやり方にとらわれず、
業界に対して“素直な目線”でビジネスを見たとき、
例えそれが非常識であったとしても、新しいビジネスの糸口が見えるのです。


時代が変わろうとしている過渡期だからこそ、この“素直な目線”を大切にしたいものです。  

ワタミ

 

 
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ(なかじませいじ)
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。