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宿研通信 9月号

他業種に学ぶ ビジネスコラム

コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は、「八木澤商店」をご紹介します。

八木澤商店の義の決断に学ぶ

継続のための決断が
復興へと繋がる

2011年3月11日に起きた東日本大震災で、
壊滅的なダメージを受けた岩手県陸前高田市。

そこにある…正しくは“あった”のが、
200年以上続く醤油や味噌造りの老舗店「八木澤商店」です。

八木澤商店は、震災で本社や工場すべてが津波で流され、壊滅的なダメージを受けました。
さらに従業員38名のうち、25名が家を流され、10名が家族を失ったというのです。

そんな中、震災を機に社長に就任したのが、河野通洋氏。
いったい彼は継続のために、地域のために、どのような決断をしたのでしょうか?

震災直後は、本社も工場も流されているので、
当然ながら本来の業務ができないという苦しい時期が続きました。

しかし、河野社長は従業員を解雇せず、社員の給料を払い続けました。

それは、役員報酬をゼロにして、いつまで払うことができるかを考えた時…、
「約8ヵ月、おおよそ年内は支払い続けることができるだろう」
「その間に1つでも仕事を入れることができたなら、その先も給料を払うことができるだろう」
と思ったからだといいます。

さらに、震災のあった2011年には1名。今年は2名を新たに採用しました。
そして、いまは一関市に仮事務所を借りて営業を再開しています。

八木澤商店は、震災により大きなダメージを受けました。
しかし、そんな苦しい時にあっても、歩みを止めようとしないのは、
「八木澤商店をこれからも守り続け、この先も歴史をつなげていくぞ」
という強い思いがあったからでしょう。


河野社長の新たな目標は、この震災をきっかけに被災地だけでなく、
東北全体を活性化させていくということです。
自分たちがあきらめないで続けていけば、必ずや地域の復興や活性化が可能なはず。
だからこそ、自分たちは雇用を続けると彼は言いました。


雇用を続ければ、街に人がいてくれる。人がいれば必ず復興につながる。
これからの東北地方や日本の街づくり、
文化の継承にもつながっていくのは、このような中小企業の大きな決断。
地域の行く末を考えた、“義の決断”が必要になってくるのでしょう。

ラジオ「BUSINESS LAB.」にも
ご登場いただいた河野社長
ラジオ「BUSINESS LAB.」にもご登場いただいた河野社長

 
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ(なかじませいじ)
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。