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宿研通信 12月号

食・浴・看板3人の匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
今月は食の匠が「食事を通してお客さまに喜んでいただく方法」をお教えします。

食事を通して、喜びを提供するということ

お客さまに提供するのは
“安心”ではなく“喜び”

こんにちは、“食の匠” 大久保一彦です。
私がお店の手伝いをしていると、必ずこんなことを聞かれます。

「お客さんに有機野菜を使っていることをわかってもらえないのです。
どう伝えたらよいですか?」

このような場合、私は相手によって答えを変えるようにしています。

順調にお客さまが入っているお店ならば、
「有機野菜の食事を食べて『これ美味しいね』と言ってくれる人はいますか?」と
質問を投げかけます。

これに対して、「いる」という返事であれば、

・お客さまの感想に対して「お客さん、わかりましたか?」と答える

というアドバイスをしています。

お店にとって大切なのは、お客さまに安心して食べてもらうことではなく、
「食事が美味しくて嬉しかった」というように心を笑顔にすることです。

本当によい野菜を家庭で食べ慣れているお客さまが一番嬉しいのは、
目利き・味利きができた瞬間です。
そんなお客さまの気づきに対して、こちらは相槌を打ってあげるだけでよいのです。

反対に、有機野菜の美味しさがお客さまに伝わっていない場合。
これは、お店側に原因があります。
例えば、

・材料の管理が悪い。
 →野菜は呼吸し糖を食べて生きているので、
  管理が悪いと糖を消費してしまい味が落ちます。
・流通に問題がある。
 →市場を通して仕入れると手元に届くまで通常で4日かかります。当然、味は落ちます。
・オーナーの商品知識不足。
・料理方法が悪い。
 →よい野菜には美味しく感じる調理法がある。

このどれかに当てはまることが多いです。
繁盛しないお店はバランスが悪く、その原因は様々なので、
私も実際に店を見ないとわかりません。

しかし、繁盛しない施設に本当に必要なのは情熱だと思います。
売れるか売れないかは、オーナーさんが商品に惚れこみ、
情熱を持っているかどうかにかかっているのです。

石川県で450年以上続く「菊姫」という酒蔵では、原料から一貫して管理するために、
年間数日しか稼動しない精米所を持っているそうです。

菊姫では、日本酒づくりに好適な「山田錦」を原料としています。
精米してから仕入れたのでは本当に山田錦100%なのかわからないため、
効率が悪くても自社で精米から行っています。
自社製品にこれ程責任を持って作っているからこそ、長く選ばれ続けているのでしょう。

自分の施設、提供している食事について熱く語れるような情熱。
その情熱が、お客さまに喜んでいただく一番の近道ということです。


 
混浴の匠 プロフィール
大久保 一彦(おおくぼ かずひこ)
現場に精通して数々の不振店の業態改善を行い繁盛店にした、食ビジネスの業績改善スペシャリスト。 「新宿さぼてん」においては、損益分岐点を下げる仕組みを作り、惣菜店の基礎を作った。独立後、日本 全国や世界の1万店を視察した経験を生かし、地域密着の店から高級店まで多くの店舗のサポートを開 始。東和フードサービス、ハイディ日高、和幸など有名店のブレーンとしても活躍した。大久保一彦の行く ところ繁盛店ありと称される。トータル日数2年以上の海外視察経験があり、講演回数も1000回を超え る。また、多くの書籍がベストセラーとなり、出版点数は20冊以上。