【印刷用レイアウト】

宿研通信 7月号

食・浴・看板3人の匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
今回は価値創造の匠が、宿泊施設の「総合力」についてお教えします。

お客様の「なんかいいよね」を創る

「なんとなくいいよね」と
言ってもらえる施設とは?

こんにちは、“価値創造の匠”小阪裕司です。
お客さまに「なんとなくいいよね」と感じてもらえるお店。
そういうお店は、突出した強力な強みがなくとも、
お客さまにとって価値となる要素のすべてが、そこそこに揃っています。
つまり、“総合力”が高いのです。

これは私見ですが、「料理はいいけど他はイマイチ」
「お風呂はいいけど後は普通」といったような、すべてが完璧なわけではない施設は
多くあるように感じています。
しかし、そういった施設も、全体的によいと「なんかいい施設だな」と思うわけです。

私の元で学んでいる旅館に、かつては倒産寸前だった旅館があります。
しかし、いまやじゃらん.netの県別クチコミランキングで
総合ベスト5にランキングされるまでになりました。

多くのお客さまが満足しているのだから、
さぞや完璧な旅館かと思うと、実はそうでもありません。
部屋もせまく、景観もよくないので、それだけでハンデをかかえているようなものですが、
総合力が高いのでお客さまに「また来たい」という声をいただいています。

では、どのような魔法を使って谷底からはいあがったのか。
資金が無く、ハードを改修することはできなかったので、
まずはお金をかけずにできる部分から始めました。

その施設がめざしたのは、「小さい子ども連れの家族が喜ぶサービスが充実した旅館」。
例えば、露天風呂を小さい子どもと一緒に入れるようにしたり、離乳食を充実させたりなどです。

つまり、ターゲットを絞り込み、そこを狙って施設の総合力をあげていったというわけです。
ある層に焦点をあてて、さまざまな要素を向上させていくことは、
施設の総合力アップにつながります。

ターゲットを絞り込んで
総合力をあげる

なぜ、ターゲットを絞ることが総合力のアップになるのかをお教えする前に、
お客さまがどういう仕組みで総合力をキャッチしているかを考えてみましょう。

人間の脳の中には“価値認識”のための仕組みがあります。
それは脳の“高次情報処理機能”によるものですが、
それが総合的に情報をキャッチし、判断して、
「なんとなくいいよね」と感じる仕組みになっています。

また、どの程度の質を価値として認知するかは、
情報を受け取る側がそれまでにどんな体験をしてきたかにも左右されます。

ですから、やみくもにすべての質を上げようとするのではなく、
狙ったターゲットにむけて価値をつくっていくことで、
その層が価値と認識することにつながる諸要素を充実させることができ、
総合力を高めることができます。

お客さまの「なんかいいよね」は「また来たい」の気持ちをつくります。
どんなお客さまに来てほしいか明確なビジョンを持ち、総合力アップをはかっていきましょう。

→小阪裕司氏が宿泊業界の現状と問題を斬る特別対談コンテンツを公開中!

 
価値創造の匠 プロフィール
小阪 裕司(こさか ゆうじ)
博士(情報学)。オラクルひと・しくみ研究所代表。
作家、コラムニスト、講演・セミナー講師、企業サポートの会主宰、行政とのジョイントプログラム、学術研 究、ラジオ番組パーソナリティなどの活動を通じて、これからのビジネススタイルとその具体的実践法を語り 続ける。人の「感性」と「行動」を軸にしたビジネスマネジメント理論と実践手法を研究・開発し、2000年か らその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県から約1500社の企業が 参加している。「日経MJ」での300回を超える長寿連載コラム『招客招福の法則』が人気を博す他、著書 は最新刊『お客さまの「特別」になる方法 ~「リレーションシップ・キャピタル」の時代 ~』(角川書店)は じめ、新書・文庫化・海外出版含み計30冊。