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宿研通信 3月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“演出の匠”が食の演出についてお話いたします。
今月のテーマは「料理のこだわり」についてです。

感動を生むこだわりの料理

皆さんこんにちは、“演出の匠”井上岳久です。

今回は料理の構成を考える際に、押さえておきたいこだわりを三つお話しいたします。

感動を生み出す料理で
強く印象づける

「お客さまにこだわりの料理を提供する」。
とても当たり前のことなのですが、
実は多くの施設でそのこだわりが中途半端になってしまっていることがあります。
それなりに美味しい、中途半端な料理では
「何を食べたっけ?」という程度の印象しか与えられません。

お客さまの記憶に残るには「感動」を生み出すことが必要です。
そのためには量と質、そのどちらかにとことんこだわる必要があります。

両方を充実させたいところですが、そう簡単ではありませんし、
中途半端になってしまうのであれば、どちらかだけに注力するのがよいでしょう。

どちらにこだわるかは、施設に合わせて考えてみましょう。
落ち着いた佇まいの施設なら、量より質にこだわる方が雰囲気に合うかもしれません。
海の近くの施設なら、海の幸をふんだんに使って、量をアピールすることができます。
山の中で海の幸を売りにしても、赤字になってしまうので、
制約の中で適したこだわりを見つけるのがポイントです。

施設のコンセプトに
マッチした料理を

質や量にこだわっていても、ただ提供すればよいというものでもありません。
そこに、何を伝えたいかという明確なコンセプトを持つことです。

例えば「星のや」には、“近代化する以前の日本”というコンセプトがあります。
提供される料理も宿のコンセプトに合わせた構成になっており、
シンプルですが非常に説得力のある料理になっています。

そこで施設のイメージとは異なる料理を提供したら、ちぐはぐな印象を与えてしまいます。
コンセプトは料理単体ではなく、施設に合わせる。
そうすることでよりお客さまの記憶に残りやすくなるのです。

地産地消に
こだわる

コンセプトを合わせることと同時に、食材は地元の物を使うようにしましょう。
地方でも、都会の料理人を雇って都会の味を提供しているところがありますが、
それは少しミスマッチだと思います。
お客さまはわざわざ遠い所から来るのですから、
提供するのはその土地の味、地産地消は料理のベースにしたいですね。

土地伝統の郷土料理などがあれば、それをメニューにするのもよいでしょう。
「そこに行かなければ食べられない」という限定感は旅の思い出になるはずです。

食材には旬がありますから、土地や季節によって料理も変わります。
きちんと旬を把握して、その時々に一番美味しいものを提供しましょう。
旬であるということをきちんとお客さまに説明することも大切です。

「ただのおいしい料理」では、せっかくの旅の食事を、感動の薄いものにしてしまいます。
お客さまに感動を与えるために、“こだわり”を大事にした料理を作りましょう。

次回は、料理をより魅力的にする演出についてお話していきます。

 
演出の匠 プロフィール
井上 岳久(いのうえ たかひさ)
カレー総合研究所・所長。元横濱カレーミュージアム・プロデューサー。カレー研究の第1人者で、中小企業診断士、中小企業庁・地域観光資源活性化アドバイザーなど様々な顔を持つ。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色などカレー全般に精通し、1000以上ものレシピを開発、現在までに100品以上を企画販売している。著書に、『一億人の大好物 カレーの作り方』、『国民食カレーで学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』(日東書院本社)、『無料で一億人に知らせる門外不出のPR戦術』(明日香出版)など多数。