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宿研通信 4月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“演出の匠”が食の演出についてお話いたします。
今月のテーマは「料理をより魅力的にする演出」についてです。

料理の価値を高める4つの演出

皆さんこんにちは、“演出の匠”井上岳久です。

今回は、料理の価値を高める方法をご紹介します。

選択制メニューで
満足度アップ

繁盛している宿泊施設で取られている戦略のひとつに、料理を選択制にするやり方があります。

全てが同じ、画一的なメニューというのは、楽な作りではありますが、
それではお客さまの感想も画一的なものにしかなりません。
しかし、メニューの全てをお客さま一人ひとりに合わせるというのは非常に手間がかかるもの。

そこで、基本は同じにしておき、
メインが肉か魚、ご飯は白米か、おかゆか、というようにいくつかを選択制にしましょう。
メニューが変われば、友人同士で「そっちはどう?」などの会話も生まれます。
メニューの一部を選択制にすることで、
お客さまの好みに合わせると同時に、少ない手間で満足度を上げることができるのです。

心に残る
サプライズ料理

突然ですが、皆さんが提供する料理の中に、
何かサプライズ要素はありますか?

サプライズとはただ驚きを与えるだけではありません。
例えば、星のやでは朝食に土鍋が出てきます。
「朝食なのに土鍋?」「何が入っているんだろう?」と
期待感を募らせながらフタを開けると、中には地元の温泉豆腐。
シンプルな料理ですが、わざわざ朝食に大きな器でお出しするのが、サプライズの演出なのです。

また、高級な和牛を提供するときに、大きなお皿に少量の肉をのせて提供すれば、
「きっとすごい肉だろう」「どんな味か気になる」というイメージを与えることができます。

意外性はもちろん、料理に想像力を働かせるような仕掛けがあるのがサプライズ料理。
メニューの中に一つこのような料理があれば、お客さまの心に残る食事が演出できます。

価値を上げる
料理の伝え方

ある旅館では、地元の山で採れるきのこづくしの料理を出しています。
肉料理がないので、一見して質素な印象をうけるかもしれませんが、
出されているきのこは、地元でしか採れないという価値がありました。
「ここでしか食べられない特別な食材」ということをお客さまに伝えることで、
その料理の価値はぐっと上がり、食材をより美味しく味わうことができます。

たとえどんな高級食材を使ったとしても、ただ提供するだけでは、魅力は伝わりません。
口頭で、または文章として、伝える努力をすることが、料理の価値を上げるのです。
特に配膳時はお客さまにそのことを伝えるチャンス。
料理の魅力を伝えるためにも、積極的に行動しましょう。

料理人は
料理の演出のひとつ

最後のひとつは、少し変わった方法かもしれませんが、“料理人をブランドにする”ことです。

それぞれの施設には、料理長や板長が居ると思います。
例えばメニューに「料理長のおすすめ」と書いてある時に、
料理長がどういう人なのかわからないと信頼しづらいですよね。
作る人の顔が見えるだけでも、料理の美味しさは変わってくるものです。
すべての料理人が輝かしい経歴、有名であることはありませんが、
経歴や人柄を紹介することで料理に説得力が生まれます。

全国には、ホテルのシェフが積極的に料理教室に参加し、
地域の方と交流を持っている例もあります。
そうすることで地域との繋がりも強くなり、ひいては施設の信頼につながります。

料理を存分に楽しんでもらうためにも、積極的に行動することは大切。 そして、気配りも忘れてはいけません。
そこで次回は、「料理における配慮のポイント」についてお話いたします。

 
演出の匠 プロフィール
井上 岳久(いのうえ たかひさ)
カレー総合研究所・所長。元横濱カレーミュージアム・プロデューサー。カレー研究の第1人者で、中小企業診断士、中小企業庁・地域観光資源活性化アドバイザーなど様々な顔を持つ。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色などカレー全般に精通し、1000以上ものレシピを開発、現在までに100品以上を企画販売している。著書に、『一億人の大好物 カレーの作り方』、『国民食カレーで学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』(日東書院本社)、『無料で一億人に知らせる門外不出のPR戦術』(明日香出版)など多数。