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宿研通信 5月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“演出の匠”が食の演出についてお話いたします。
今月のテーマは「料理における配慮のポイント」についてです。

楽しい食事をつくる
細かな気配り

皆さんこんにちは、“演出の匠”井上岳久です。

前回までは、料理をより魅力的に見せるための考え方や、手法についてお話しました。
今回は、その演出をする時に抑えておきたい気配りのポイントをお話いたします。

施設の印象を左右する
子ども用メニュー

宿泊に来るお客さまの中には、子ども連れの方も多くいるかと思います。
しかし、そこで陥りがちなのが、
「子どもだから大人向けを簡単に、少なくすれば良い」という考え方。
“子ども用メニュー”は子どもだけではなく、
大人に与える印象も左右する、とても重要なポイントなのです。

ある宿泊施設では、大人よりも先に子ども用の料理を提供します。
それも非常に手の込んだ、豪華なものです。
先に子ども用の料理を出すことによって、大人は
「子ども用でこんなにすごいんだ、きっとすごい料理が来るはず」
といった期待感を持っていただけます。

子ども連れが多いからこそ、メニューに丁寧に取り組むことで
「子どもにも気を使ってくれる宿」というように、印象がぐっと良くなります。
また、親同士には、独自のネットワークがありますから
印象の良い口コミを得ることにも繋がります。

シニアのお客さまに
食事を楽しんでいただく配慮

高齢者の方は、歯が弱い、カロリー制限がある、など食べられるものに制限が出てきます。
中には、旅先で食べられない料理が出てしまい、自分で作ってきたお弁当を食べる方も居るそうです。
せっかくの旅行で食事を楽しんでいただけないのは、
お客さまにも、施設側にとっても残念なことです。

お客さまに食事を楽しんでいただくためにも、
予約の時点で、何が食べられない、ということしっかりとヒアリングし、対応できるようにしましょう。

ここで気をつけたいのが、80歳のお客さまだからといって、
高齢者向けメニューを出せば良いと決め付けないこと。
体が元気で普通の食事が良いという方もいますし、年齢で分けるのが失礼になることもあります。

前回お話したように、ここでもメニューを選択式にすると食事の幅を出すことができます。
食べられないものと食べたいものを取捨選択できるので、
旅先でお客さまに悲しい思いをさせることはありません。

海外の方に安心して
泊まってもらう宿を目指す

宿泊施設を訪れるのは、日本人だけではなく、外国の方もいます。
そして中には、宗教の決まりで食べられない食材がある方も少なくないでしょう。

「肉がダメ」というお客さまは、
当然肉そのものは食べられません、肉を使ったスープも飲めません。
そうなると、食べられるものが限定され、料理の面での楽しみが少なくなってしまいます。

これからの観光業界は、 訪日外国人のお客さまをいかに集客し、満足していただくかがポイントです。
外国語での観光マップを用意する、外国語を話せるスタッフを揃えるなど、
様々な手法がありますが、食のルールをきちんと把握することもその一つです。

「食べられないなら仕方ない」という考え方では、お客さまを満足させることはできません。
予約の時点でヒアリングを行うなど、普段から体制を整えておきましょう。

私がお話ししてきたことは、どれも決して難しいことではありません。
お客さまの満足度は、少しの演出で変わるもの。
その少しの演出を心がけることが、お客さまの感動につながるのです。

 
演出の匠 プロフィール
井上 岳久(いのうえ たかひさ)
カレー総合研究所・所長。元横濱カレーミュージアム・プロデューサー。カレー研究の第1人者で、中小企業診断士、中小企業庁・地域観光資源活性化アドバイザーなど様々な顔を持つ。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色などカレー全般に精通し、1000以上ものレシピを開発、現在までに100品以上を企画販売している。著書に、『一億人の大好物 カレーの作り方』、『国民食カレーで学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』(日東書院本社)、『無料で一億人に知らせる門外不出のPR戦術』(明日香出版)など多数。