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宿研通信 10月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“掃除の匠”が宿屋のクリンネスについてお話いたします。
今回のテーマは「考える掃除の大切さ」についてです。

全身を使った掃除が真の清潔さへの道

皆さんはじめまして。
“掃除の匠” 千種 敏夫です。

宿泊施設で働く皆さんは、“施設の清潔さ”が
お客さまからの印象に作用するところについて、
日頃から考えていることと思います。
当然、客室や浴室、エントランスや食堂など毎日きちんと掃除をされているはず。

しかし、そこで気になるのが、
掃除が“ただ毎日行う作業”になってはいないか、ということです。

掃除は非常に体力を使う仕事ですが、
それと同じくらい“頭で考えること”も必要になってきます。

毎日行う掃除だからこそ
作業にしてはいけない

例えば、浴槽を掃除しようとする時、
「どういう手順で進めれば綺麗になるだろう?」とその道筋考えるはずです。
しかも、その汚れ具合は日々変わっていくもの。
今日はどのやり方で、どの道具を、どう使えば…この様に、
ひとつの対象に対して、様々な考えを巡らせます。

施設さまによっては、掃除のマニュアルなどを用意しているところもあるかもしれません。
時間や人員を考えれば、より効率的なやり方にシフトすることもあるでしょう。

しかし、頭を使わずに手を動かすだけ、決められたやり方をなぞるだけでは、
日々変化する汚れに対処することはできません。
体と同時にきちんと頭で考えていかなければ、本当の掃除とはいえないのです。

さらに、考えるということは決してその日限りのことではなく、
毎日続けることで見えてくることがあります。

昨日掃除した壁に、今日は小さな汚れを見つけたとします。
実は、この傷は実は前からあったもの。
昨日と同じ様に掃除を始めていたら、この汚れには気づかなかったかもしれません。

毎日考えながら手を動かすことで、見えてくる汚れはどんどん細かくなってきます。
それを一つひとつ綺麗にしていけば、
その対象を今までより、もっと美しく磨き上げることができるのです。

「今日も決められた手順で掃除をしたから大丈夫」という気持ちでは、
何時まで経ってもお客さまに本当に美しい施設の形を見せることはできません。
「最高の状態でお客さまをもてなしたい」。
そんな思いがあれば、自然と掃除のやり方も変わってくるでしょう。

掃除とは、実は大きな成長の場。
そのため、それを単に日課としてこなすのは非常に勿体無いということを、
知っていただければと思います。

 
掃除の匠 プロフィール
千種 敏夫(ちぐさ としお)
有限会社エムシイエス設計代表。建築家として活躍しながら、認定NPO法人「日本を美しくする会」の副会長、「東京掃除に学ぶ会」代表世話人を務める。掃除を通じて美しい街づくりや公共施設等の環境美化に務め、心の荒みのない社会をめざし清掃を20年間継続。現在も毎月新宿・渋谷の街頭清掃を開催している。掃除による心磨きの活動を多くの人に届けるために、国内のみならず海外でも掃除実践活動を行なっている。