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宿研通信 12月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“掃除の匠”が宿屋のクリンネスについてお話いたします。
今回のテーマは「自ら工夫する掃除」についてです。

信頼感をつくる掃除の方法

みなさんこんにちは
“掃除の匠” 千種 敏夫です。

第一回目でもお話したように、掃除は手を動かすだけではなく、
考えを巡らせながら行うことが大切。
それを続けていくと、きっと自分たちなりに気づきを得るようになります。

反対に、工夫をしていないという掃除の仕方は、見る人が見ればすぐに見ぬかれてしまうもの。
私がある宿の大浴場にて天井を見上げた時には、
掃除が行き届いてない様子が分かったりもします。

「天井は高くて掃除が行き届かない」という言い分もわかりますが、
知恵・工夫でどう解決するか、考えなくてはなりません。
せっかく宿泊したのに、そこでスタッフの諦めをみてしまっては、宿への信頼も薄れてしまいます。

ただ、その方法は誰かの真似をするということではありません。
宿の形はそれぞれ違うのですから、
自分たちでその方法を見つけるしかないのです。

では、いったいどういう意識でその方法を見つければ良いのか。
ここで一つ、私が行なっていた掃除の工夫をお話しましょう。

私が以前、お店の設計に携わった時、「掃除道具を表に出す」という事をしていました。
きっと皆さんは「掃除道具なんてお客さまの目に触れさせられない!」と、驚かれることでしょう。

けれど考えてみてください。
飲食店のオープンキッチンは、調理するところが見えるよう作られていますね。
過程を見せることで、お客さまに「心をこめて、しっかり作っています」という、
料理人の心を伝えることができます。

掃除道具をお客さまの目に留まるようにするのもこれと同じ。
自分たちがしっかりと清潔さを保っていると表現するチャンスなのです。
もちろん、お客さまにそれを見せるのは、行なっている掃除に自信を持っているから。
恥ずかしくないよう掃除を行おうという、気の引き締めにもなります。

掃除の動作自体は、迷惑にならないようにします。
道具も、使い終わったものをただ置くのではなく、キチンと手入れをした状態にしておくこと。
そうすれば、お客さまに「道具も大切にする、綺麗な宿屋」という印象を
持っていただくことができ、結果として信頼感に繋がります。

この方法に抵抗感を覚える方もいるかもしれませんが
「お客さまに恥のないよう行動しよう」という意識を保つ方法と、覚えていただければと思います。

お客さまに良い環境で過ごしてもらうためにどうすればよいか。
自分たちなりの掃除のカタチを探してください。そうして常に考えを巡らせることで、
思考は柔軟になり、良いアイデアも生まれやすくなります。

自分たちで考えた方法なら、きっと続けていけるはず。
そうしてさらによい環境が作られ、お客さまにとって心地よい宿がつくられるでしょう。

毎日続ける掃除だからこそ、毎日が成長の場になる。掃除を続けていくことは、
スタッフとお客さま、そのどちらにも良い効果をもたらしてくれるものです。

 
掃除の匠 プロフィール
千種 敏夫(ちぐさ としお)
有限会社エムシイエス設計代表。建築家として活躍しながら、NPO法人「日本を美しくする会」の副会 長、「東京掃除に学ぶ会」代表世話人を務める。美しい街づくりと公共施設の環境美化ための清掃を 20年間継続し、毎月新宿・渋谷の街頭清掃を開催。掃除による心磨きの活動を多くの人に届けるため に、国内のみならず海外でもトイレ掃除の指導援助事業、普及啓発事業などを行なっている。