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宿研通信 1月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“掃除の匠”が宿屋のクリンネスについてお話いたします。
今回のテーマは「掃除がもたらす様々な効果」についてです。

掃除がつくる人と地域の関係性

皆さんこんにちは。
掃除の匠、千種敏夫です。

これまでの3回を通して、掃除とは気づきをもたらすもの。
成長の場として、大切なことだとお話してきました。

掃除を続けることで小さなことに気が回るようになり、
お客さまに良い環境を提供できるようになります。
そして、そこで感じた気づきは、掃除以外の場にも相乗効果をもたらすようになるのです。

様々な事に気づける視点というのは、まずコミュニケーションの場で活かされます。
「この人は今何を思っているのか?」「どうしたら喜んでくれるだろう」など、
自分だけではなく、相手を思う心を持つようになれるでしょう。
これは、宿泊施設で見ると、スタッフ同士のチームワークを強固にする、
社員教育の一環にもなります。
スタッフ同士で良い環境を作れたら、
きっとお客さまによい旅を提供できるのではないでしょうか。

そして、相乗効果は施設単体ではなく、町の活性化にもつながると私は考えます。

皆さんは、施設内だけではなく、その周辺を掃除しているでしょうか?
施設を訪れるお客さまは、バスや電車など、いろいろな道を通ってやってきます。
たとえ宿が綺麗であっても、その途中や帰り道などに悪い印象を持たれてしまっては、
旅の思い出も綺麗なものではなくなってしまうかもしれません。

お客さまに良い旅を提供するというのは、
施設の敷地内だけ、自分だけ良ければ良いというものではありません。
旅を素敵な思い出とするために、自分の場所だけではなく、
町の環境にも気を配っていけるようになります。

観光が盛んな場所では、他の宿、言ってしまえば商売敵となる施設もたくさんあるでしょうが、
他の施設も自分たちと一緒に地域をつくっているものの一つ。
お客さまを奪う、競争の意識ではなく、分け合うという気持ちで行動してみましょう。

町の環境を良くするために、他の施設の前も掃除する。
そうすると、きっと隣の施設の方や、町の住人の方々も少しづつ変わってくるはずです。
お互いがお互いに、相手を思いやる気持ちを持つ。
それはきっと地域の環境を良くし、結果としてお客さまによい旅を届けられるはずです。

「掃除という、当たり前の行為として一つの仕事から随分と大きな話になった」という
印象を持たれる方も居るかもしれません。
けれど、それだけ気づきを持つということは、多くのことを良い方向へ導いてくれます。
多くの相乗効果を得るためにも、掃除という当たり前の行為を大切にしていっていただければと思います。

 

 
掃除の匠 プロフィール
千種 敏夫(ちぐさ としお)
有限会社エムシイエス設計代表。建築家として活躍しながら、NPO法人「日本を美しくする会」の副会 長、「東京掃除に学ぶ会」代表世話人を務める。美しい街づくりと公共施設の環境美化ための清掃を 20年間継続し、毎月新宿・渋谷の街頭清掃を開催。掃除による心磨きの活動を多くの人に届けるため に、国内のみならず海外でもトイレ掃除の指導援助事業、普及啓発事業などを行なっている。