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宿研通信 5月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“光の匠”が宿屋の空間演出についてお話いたします。
今回のテーマは 「国の文化と光」 についてです。

選ばれるのは 文化に根差した光

皆さま、こんにちは。
“光の匠”の小西美輝です。

前回は、「光と人のバイオリズム」を意識することで
より集客につながる安らぎの空間が生まれるという
お話をさせていただきました。

今まで計3回「集客と照明」の関係を
いろいろな角度からお伝えしましたが、
最後は日本における「照明」の文化、捉え方、
そして海外との違いなどについてお伝えしたいと思います。

お客様にとって
本当の安らぎの光とは

私たちにとって「光」は、水や空気と同じように、
生きるために必要不可欠なもの。
かつて世界中の人々が光の存在に心惹かれ、
その国ごとに独自の照明文化を生み出してきました。

もちろん私たち日本人にも日本ならではの照明文化が存在します。

しかし、最近の光・照明は海外に目が向けられることが多く、
本来あるべき日本文化に根差した光は少なくなっているように思います。

例えば、もともと日本では太陽からの「自然光」を
大切にするといった風習がありました。

思い返してみると古き良き日本家屋には、
白い砂が敷かれた庭があったり、池があったり、
また障子やふすまがありますよね。

あれは太陽の光を反射させて屋内に光を採り込むといった
昔の日本人のひとつの知恵なのです。

特に障子は、気候に合わせて湿度調節をしてくれるだけでなく、
面で光を採り入れることができるため、
部屋の奥まで光を届けることができます。

陰影を尊ぶ文化があった日本人にとって
この光はとても馴染みやいものになりました。
その後、“わびさび”や“禅”といった文化にも深くかかわってくるのです。

一方、最近の日本の照明はON/OFFする文化。
本来の、「コントロールする」といった
光の特性を無視しているところが多々見受けられます。
これでは宿屋に来て下さるお客様にとって
一番心地のいい“安らぎの光”は生まれないでしょう。

今一度、光・照明への気配りを意識してみてください。

例えばお客様が「なんか部屋の明かりが薄暗い」。
そうおっしゃった時はスタンド照明、もしくはろうそくを1つだけ追加してみてください。
それだけでも劇的に光のバリエーションが増え、お客様の気持ちも大きく変わります。

光文化と向き合うことは
宿屋が変わる第一歩

照明はただ明るく照らせばいいというわけではありません。
環境・目的・そしてその国の文化に合っていない照明があると、
本来の施設の魅力を十分に感じてもらえないでしょう。

文化に根差し、個々のお客様のスタイルに合わせて、
時間をかけて光調整する。
そのことではじめて自分たちの宿屋に合った照明に出会えるのです。

日本独自の文化に根差した照明をもっと身近に感じ、考える。
そのきっかけは、人それぞれでしょう。
しかしお客様の居心地の良さを追求し続ければ
きっといつか出会うことができます。

光と真剣に向き合うこと。
そこに宿屋が変わる、新しい一歩があるような気がします。

 

 
光の匠 プロフィール
小西 美輝(こにし みき)
株式会社EPK専務取締役。1976年生まれ。年少の頃から照明に携わり、その魅力に感銘を受ける。日
本女子大学を卒業後、一般企業に勤め、主に海外でマーケティングを学び、帰国後、株式会社EPK専
務取締役に就任。現在は、建築空間をより良くするために、最新の照明器具の特注などを中心に幅広
く活動している。また、光を通して人に希望や感動を与えるという視点から、社会貢献活動にも積極的
に参加している。