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宿研通信 6月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“空間の匠”が宿屋の空間デザインについてお話いたします。
今回のテーマは 「おもてなしの考え方」 についてです。

おもてなし デザインを考える

皆さま、はじめまして。
“演出の匠”の田畑朋子です。

今月から計4回、皆さまに“おもてなしの空間デザイン”を
テーマに気軽に取り入れられる
演出のポイントをご紹介したいと思います。

初回は、空間をデザインするにあたって
一番欠かせない“考え方”のお話。

空間のおもてなしは
相手を思いやる心

私が空間デザインやテーブルコーディネーションをさせていただく際に
必ず意識すること、
それは“おもてなし”です。

どのような場所やシチュエーションだろうと
私たち日本人にとっての“おもてなし”というのは、
まずは迎える側の覚悟と心意気、深さや広さ、
そして相手を思いやる心が大事です。

ここで私がいう“おもてなし”は
仕事やサービスでもなく、ましてやホスピタリティーでもない、
もっと深いもの。

宿屋側がもてなしてばかりではなく、
必ずお客さまが「主体」となる瞬間があり、
それを宿屋が支える。
そんな心と心のコミュニケーションのことです。

どのような場所においても、お客さまに
「あ、今日は本当に楽しかったな」「なんか私のこと気にしてくれているな」と
思っていただくことはとても大切。

施設側もお客さまからも、お互いに笑顔が出る。
これが、おもてなしが本当に成功したということだと思います。

マスではなく
個のおもてなしを

ここで、一番重要になってくるのは、
“マス(集団)”ではなく、“個”の顔を見てもてなすということです。

旅行中のお客さまにとって、
その時間は「非日常」のを楽しむかけがえのないもの。

宿屋側は集団としてお客さまと接するのではなく、
お客さま一人ひとりが何を求めているのかしっかり把握し、
コミュニケーションすることがポイントとなってきます。

例えば、何かの記念日に来られたお客さまがいたとします。
そこで宿のお部屋に入った際に、
自分の名前入りの便箋やグリーティングカードが
机の上におかれていたらどうでしょう?

きっとどんな方でも嬉しく思うのではないでしょうか。
そのシンプルなおもてなしだけで、
お客さまとの距離もぐっと近づくはずです。

そうすると、その後に出てくる料理が変わり、器も変わり、
光の演出方法も変わってきます。
そして自然とお客さまの“目的”が見えてくるのです。

そこから他の宿屋には出せない、
「その宿屋が忘れられなくなるおもてなし」が生まれるというわけです。

日々、多くのお客さまと接する宿屋の皆さまにとって
当たり前のようで、なかなか難しい“個”のおもてなし。

お客さまと一緒にいられる限られた時間の中で、
自分がおもてなしに集中すればするほど、
絵画や写真のかけ方、お花の位置などいろいろな気づきが楽しめます。

お客さまに感動していただくには
自分が持っている精一杯のおもてなしを引っ張り出すことです。

宿屋に限らず、日本の多くの施設では何かにがんじがらめになったり、
変化を楽しめないでいるところが見受けられます。

ただサービスを並べるだけではなく、頭を少し柔らかくして、
違うものを組み合わせ、素敵な“おもてなし”を表現しましょう。

宿屋の皆さま一人ひとりが普段の生活の中での習慣と訓練が表現に繋がり、
より説得力のある発信が可能になります。
そして、日本人ならではのおもてなし、繊細な心遣いが
より一層、魅力的なものになると思います。

 

 
空間の匠 プロフィール
田畑 明子(たばた あきこ)
東京出身。グラフィックデザイナーとして企業のPR・企画制作などの業務に携わる。現在主に生活空間
の演出からテーブルコーディネートをはじめ、生活雑貨のコーディネーションの提案。ギャラリーなどで
その提案展及び企画プロデュース。雑誌掲載、テレビ出演等多数。