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宿研通信 3月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヵ月連続して“コンテンツの匠”が
「宿屋に求められるコンテンツ力」についてお話しいたします。
今回のテーマは『「体験」がリピーターをつくる』についてです。

「体験」がリピーターをつくる

みなさま、こんにちは。“コンテンツの匠”田中翼です。
4回にわたり「宿屋に求められるコンテンツ力」についてお話ししています。
どうぞよろしくお願いいたします。

第2回は、『「体験」がリピーターをつくる』についてです。

その地域の
リピーターをつくるには?

さまざまな業種・業態で
取りあげられることの多い“リピーターづくり”は、
宿屋業界においても課題のひとつかと思います。

弊社(株式会社仕事旅行社)は、
多種多様な職業を一日体験できる
サービスを展開しているのですが、
一度体験していただいた方がまた弊社を
利用してくださる割合は3割程度です。

そのなかでも、同じ職種の職業体験を選択する方は、
ごくわずかになります。

同じ体験を選択する方が少ないという点は、
宿泊施設を利用する観光客にも
共通している部分があるかもしれません。
せっかく何かを体験をするなら、
そこでしかできない体験をしたいと思う方は多いのです。

例えば、北海道のとある宿泊施設に
旅行で数日宿泊したとします。
そのお客さまが次回以降、同じ宿泊施設を
選択する確率はとても低いものになるでしょう。
なぜなら、心を動かされる感動や思い入れがない限り、
新たな場所を選ぶことがほとんどだからです。

では、リピートしていただくためにはどんな工夫が必要なのでしょうか。

それは、“その土地、その宿屋ならではのコンテンツ、
表情(個性)を感じて体験できること”ではないでしょうか。
これは、先月お話しした
「その土地のコンテンツ力を集客に繋げる」にも繋がります。

旅行という特別な時間を過ごすからには、
お客さまは“素敵な体験”を望まれています。
その土地、その宿屋に訪れたからこそ得られる、
素敵なコンテンツの存在を求めているはず。
だからこそ、“特別な何かを提供できる宿屋”になる必要があるのです。

心惹かれる風景があったり、極上の料理を楽しめるといった
コンテンツを提供するのもいいかもしれません。
しかし、観光地や宿屋は選択肢が数多く存在するので、
多くの人たちは新しい景色、新しい味といった、
新たな体験を求めて別の場所へ流れていきます。

だからこそ、人の記憶や印象に残る
コンテンツをつくるなら、
人との繋がりを感じられるものがおすすめです。

人との繋がりが
リピーターを生む

「人との繋がりを感じられるコンテンツ」とは、
一体どのようなものでしょうか。

私の友人の話を例に、ご説明いたします。

彼が出張でたまたま訪れた、
これといった観光地ではない地方でのこと。
飲食店にいた常連のお客さまと
何気ない会話を交わし、仲良くなれたそうです。
そして帰り際に従業員の方から、
「また来てな」と声をかけられたことに
彼は「人との繋がり」を感じたそうです。

その場がとてもアットホームな雰囲気だったことに加え、
常連のお客さまと意気投合したことで、
SNSの連絡先を交換し合い、再びこの店を訪れるきっかけとなったのです。

その店の常連のお客さまと出会えたことが、
彼にとっての動機になり、リピーターとなっています。

人は「きれいな風景」や「おいしい食事」といった
ハードの部分の目立った利点だけに心動かされるのではありません。
「その地域に根づいた文化」や「もてなしてくれた人」といった
目に見えないソフトな部分があるからこそ、忘れられない体験として記憶に刻まれるのです。

人との繋がりを意識した施策・コンテンツにすることは、
リピーターを繋げるためのポイントになるのでしょう。

 

 
コンテンツの匠 プロフィール
田中 翼 (たなか つばさ)
1979年生まれ。神奈川県出身。米国のミズーリ州立大学を卒業後、国際基督教大学(ICU)へ編入。卒業後、資産運用会社に勤務。在職中に趣味でさまざまな業界への会社訪問を繰り返すうちに、その魅力の虜となる。気づきや刺激を多く得られる職場訪問を他人にも勧めたいと考え、2011年に「見知らぬ仕事、見にいこう」をテーマに株式会社仕事旅行社を設立し、代表取締役に就任する。100ヵ所近くの仕事体験から得た「仕事観」や「仕事の魅力」について、大学や企業などで講演も手がけている。