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宿研通信 10月号

互いの協力で理想の未来を形に。ここはアイディアの宝庫 宿研トピックス

宿研からのお知らせや、パートナー施設さまの取り組みなどをご紹介するこのコーナー。
今回は、「マーケットを意識した適切な価格設定の考え方」についてお話いたします。

マーケットを意識した価格設定

宿泊施設様から、「うちの施設の価格設定は適正なのか?」
「周りの施設はいくらで売っているのか?」という質問をいただくことがあります。
時代の変化・外部環境の変化により、自分たちの施設がお客さまに受け入れられる
適正な価格から取り残されていないか、不安になっている方もが多いのではないでしょうか。
そこで今回のトピックスでは、価格設定における考え方をご紹介します。

スーパーやデパートなどで販売している商品は、
直接見たり手に取ったりすることで、お客さまは直接、商品価値の判断をしています。
しかし、リピートするお客さまを除いて、
宿泊施設を選ぶ際には現物を見て判断することができません。
それでは、お客さまは何をもって宿泊施設の価値を判断しているのでしょうか。

その判断材料の大きな要素が“クチコミ”です。
インターネットで宿泊施設を探す際に、今ではほとんどの人がクチコミを参考にしています。
要するに、クチコミの点数によって、宿泊施設の価値を判断しているのです。
例えば、同じ2万円の宿泊料金で、クチコミ4.5の施設と4.0の施設があった場合、
どちらの施設を選ぶでしょうか。

お客さまにはそれぞれの価値観があるため、4.0の施設を選ぶ人もいると思いますが、
おそらく4.5の施設を選ぶ人のほうが多いでしょう。
また、1万5千円でクチコミ4.0の施設と、2万円で同じくクチコミ4.0の施設があった場合、
どちらの施設を選ぶでしょうか。
この場合、1万5千円の施設を選ぶ人のほうが多いと思われます。

このように、クチコミによって施設の価値を判断し、
お客さまはそれに見合う投資をしているのです。
つまり、「クチコミの点数」と「販売価格」の2つが、自分たちのマーケットで
どのような状態になっているかを把握するところから始めなければなりません。

次の図は、熱海エリアでの施設の
「クチコミの点数」と「販売価格」を調べたものを表にしたものです。

図1 熱海エリアの「クチコミの点数」と「販売価格」クロス表
図1 熱海エリアの「クチコミの点数」と「販売価格」クロス表

クチコミ4.0だと1万円前後の販売価格、クチコミの点数が上がるにつれて販売価格が上昇し、
4点台後半になって2万円前後の販売価格になっていることが見て取れると思います。
このプロットが集中しているラインが、このエリアの市場価格形成ラインとなります。(図2参照)
このエリアは、このラインで、
クチコミの点数と販売価格の市場が形成されているということです。

そして、このラインより上の領域が「ラインが崩れるのを待つ領域」、
このラインより下の領域が「お客さまを早めに奪う領域」です。(図3参照)

図2 熱海エリアの「クチコミの点数」と「販売価格」クロス表
図2 熱海エリアの「クチコミの点数」と「販売価格」クロス表

図3 熱海エリアの「クチコミの点数」と「販売価格」クロス表
図3 熱海エリアの「クチコミの点数」と「販売価格」クロス表

「ラインが崩れるのを待つ領域」とは、
市場価格形成ライン付近の施設が売り切れるのを待って、それから売れていく領域となります。

年末年始やお盆、連休など需要が高いときは成功するかもしれませんが、
そのようなときでも需要の高さを見極めなければ、
売れ残りのリスクがあることを意識しておかなければなりません。
自分たちの施設が売り切れるまでは「需要の高さ」と「ラインとの乖離」を常に注視し、
場合によっては販売価格を下げるなどの調整をする必要があります。

「お客さまを早めに奪う領域」とは、
市場価格形成ライン付近の施設よりも優位なポジションに位置しているため、
エリアの中では早くからお客さまを獲得していく領域となります。
閑散期の平日など需要が低いときは有効ですが、
自分たちの施設が満室にできるほどの需要があるときには、
販売価格を上げても売り切ることができる可能性があります。
いつもより早くからお客さまの予約が動き始めた日などは、
販売価格を少し上げるなどして収益を高めるための調整が必要になります。

このように、まずは自分たちのエリアの中で、
「クチコミ点数」と「販売価格」をクロスさせた表を作成し、
プロットが集まっているラインをエリアの市場価格形成ラインとして設定。
市場ラインに対して、需要が高い日は「ラインが崩れるのを待つ領域」、
需要が低い日は「お客様を早めに奪う領域」へ販売価格をシフトさせて、
収益を高めていきましょう。

また、今回は「日付未定」での表を作成しましたが、
本来はシーズンごと、平日・休前日などの日ごとの表を作成すると良いでしょう。

(文:メディアサービス室 坂本 真士)