ホテル・旅館のInstagram運用は何を目的にするべき?
運用効果を可視化する効果測定シートもご紹介
2024. 05. 13
最終更新 2024. 08. 08
目次
はじめに
「インスタグラムをやっているけど、結局何の役立っているのか分からない」
「インスタグラムは何となく投稿している」
現在、このような状態でインスタグラムを運用している宿泊施設の方は多いのではないでしょうか?この記事では、そもそも宿泊施設がインスタグラムを運用する目的として、何がベストなのか。そして、日々のインスタグラム運用がどう貢献しているのかが分かるようになる「計測シート」をご紹介します。
インスタグラム運用を任せられている方、定期的に報告をしないといけない方は是非ご活用ください。
この記事を読むことで得られること
①インスタグラム運用が集客の何に役立っているのか可視化できる。
(やる意義を感じられる・モチベーションが維持できる)
②どの集客フェーズが弱いのか改善ポイントを可視化できる。
(成果を出すためのヒント)
宿泊施設に多い「インスタグラム運用の目的」は?
日本では2014年にインスタグラムがリリースされてからこれまでに、インスタグラムの利用者数は右肩上がりに増え、現在ではビジネスシーンにおいても大いに活用されています。宿泊施設でも運用する例が年々増加し、集客におけるインスタグラムの存在は無視できないものになっています。
そんな中、宿泊施設がインスタグラムを運用する目的として現在最も多いのは、『認知の拡大』と思われます。少し前までは、『売上UP』を目的とする宿泊施設が多かったのですが、運用している施設の実績と、宿泊を計画するユーザーのインスタグラムの活用方法も見えてきたこともあり、目先の売上UPではなく、長期的な視点で構えた『認知の拡大』が最も合理的な目的といえます。
インスタグラム運用を売上UP目的にしない理由
では、なぜ「売上UP」を目的にしない方がよいのでしょうか。
その1つ目の理由は、売上の向上にインスタグラムがどの程度貢献しているのか、因果関係が明確に計測できないことです。インスタグラム上で特典を付けるなどをして工夫したり、宿泊者アンケートを実施したりすれば流入経路を追えますが、必ずしも直接予約をするとは限らず、予約サイトに流れるパターンやアンケートにも答えてくれない場合が往々にしてあります。このように効果測定が安定して行えない実態があることが、売上UPをインスタグラム運用の目的にしない理由の一つです。
2つ目は、ユーザーの購買行動の特性です。
例えば、日用品や1万円を切るような商材においては、「たまたま目に入って気になったから」「ずっと欲しかったものがちょうど安くなっていたから」などの非計画購買、つまり「衝動買い」の場面が多々起こります。
しかしながら、旅行や宿泊という商材・カテゴリーにおいては、ある程度の計画(日程調整、同行者調整、資金など)が必要となるので、インスタグラム投稿で仮に好意的に見てもらえたとしても、衝動買いのような思い付きによる購買行動に至ることが多くないという特性があります。
このことから、インスタグラム運用の目的を「売上UP」にしてしまうと、効果が実感として感じにくく、結果として運用している意味が見いだせないまま止めてしまうパターンに陥りがちです。一方、目的を「認知拡大」に置けば、インスタグラム内の計測データやGoogleアナリティクスなどから確実にデータが収集できるので、効果測定が可能になります。それにより運用担当者のモチベーションUPに繋がったり、次回以降の運用改善が実施されたりといった継続的な運用が行われ、認知拡大効果に少しずつ貢献していきます。もちろん、認知拡大の効果は最終的には宿泊施設の売上UPに繋がる可能性が十分にあります。
インスタグラム運用の成果は最終的には売上UPですが、一足飛びにそこを運用目的とするのではなく、インスタグラムの特性や利用ユーザーの行動特性を鑑みたうえで、目的の再設定をすることが望ましいといえます。
宿泊施設に合ったインスタグラム投稿の計測シート
ではここで、認知拡大を目的とした運用における計測シートをご紹介します。
こちらの計測シートはインスタグラムのビジネスアカウントで閲覧できる「インサイト」内の情報を記入して使用します。
※個人アカウントからビジネスアカウントの切り替えは、誰でも無料で簡単にできます.
インスタグラム運用計測シート
日々のインスタグラム投稿の効果を可視化し認知拡大を達成するための管理シートです。
上記のシートは左側の投稿内容の入力欄と、右側のデータ入力欄とに分かれ、投稿の3日~1週間後の数値を継続的に記録していきます。
右側の各計測項目は、下記のように認知から検討までのフェーズのどの段階を示す数値なのか整理されているので、データを継続的に入力していくと、3段階のうちどのフェーズが伸びていて、逆に伸びていないのかがひと目でわかりやすくなります。
ただし、このシートを記入する際には2つの注意点があります。
1つ目は、「保存数」の計測です。
宿泊施設がインスタグラムで投稿する際には、自社の情報だけでなく飲食店や物販店舗、観光スポットなどの投稿もすることがあります。その際に、観光スポットの投稿に対し「保存」がされても、それは自社が「候補」に挙げられたわけではありません。飲食店の投稿においても同様です。「保存数」の計測は自社に関する投稿に対してのみにしてください。
2つ目は、ストーリーズの投稿です。
ストーリーズの投稿は基本、既にフォロワーになっている人に対して表示されるものです。なので、認知拡大の趣旨とは少し異なるので、計測シートからは除外しています。ストーリーズの反応も計測したい場合は、計測シートを分け管理することを推奨します。
しかし、ストーリーズの投稿が新規顧客に向けた認知拡大に寄与しないわけではありません。むしろ、ストーリーズの投稿は長期的に見て認知拡大への下地となる重要な投稿になります。
今回ご紹介した計測シートを使うことで、インスタグラム運用の効果を社内へ理解してもらいやすくなり、運用する意味が実感できるようになることでしょう。
さいごに
インスタグラムに限らず、目標を設定する際に見落とされがちな大事なポイントがあります。それは、数値目標だけを設定するのではなく、質的な目標も同時に立てることです。
ビジネスにおいて目標には2種類あり、定量的目標と定性的目標があります。目標や目的を達成するためには良い戦略が必要であり、多くの場合、筋の良い戦略は定性的な目標から生み出されます。
一見、数値目標(定量的目標)は具体的で良いように思われがちですが、数値目標だけだと達成までの道筋が頭に浮かびづらく、何をどうするのか具体化に時間がかかるうえ、関係するスタッフ間での認識のズレや、数値目標を達成したときの望ましい状態にまで議論が及ばない恐れがあります。また、数値目標だけだと数字が上がっていくだけの未来しか描けず、ビジネスの広がりに欠けます。
細かい話は省きますが、インスタグラムの運用においても、数値的な目標(定量的目標)を設定するだけではなく、ユーザーが自社アカウントのプロフィールを見たときにどのような感情を抱くようにするのか、施設のもつ世界観はどのようなテイストにするのかなど、質的な目標(定性的目標)も立てておくことが非常に重要で、認知から集客につながるインスタグラム運用のポイントとなります。