宿屋と町が寄り添いともに栄えるプロジェクト~閑散期の観光地を灯す光~
2022. 09. 26
最終更新 2024. 10. 10
目次
天竜川の浸食によって造りだされた、南北約2kmにわたる峡谷の美しい景観。
長野県・静岡県・愛知県にまたがる天竜奥三河国定公園にあり、国の名勝にも指定されている「名勝 天龍峡」をご存知でしょうか。実は弊社が営む「渓谷に佇む隠れ宿 峡泉(https://kyousen.com)」も同じ国定公園内にあります。
画像提供先:渓谷に佇む隠れ宿 峡泉
今回は、この峡泉での出会いをきっかけに天龍峡を盛り上げようと地元の方々と一丸となって取り組んだ地域活性化プロジェクトについて、宿研からプロデューサーとしてその企画・運営に参加している宿運営事業開発室の島田さんのお話しを交えてご紹介していきたいと思います。
※以下島田さんのお話を元に作成しています。
天龍峡に恩返しを。一つの思いを胸に
エメラルドグリーンの美しい水面と緑豊かなの渓谷美を望む川下りが人気の天龍峡ですが、夜になると一転、街灯が少なく暗いため、観光客はもちろん、地元の人たちも見ることがありませんでした。
そんな中、峡泉の仕事で天龍峡を訪れた島田さん。約5年にわたり何度も足を運ぶ中で、応援してくれる天龍峡の皆さんへ何か恩返しができればと考え思いついたのが、夜のライトアップを通じてより多くの方に天龍峡を知ってもらう、「ナイトミュージアム」の開催でした。
構想を固めたのち、賛同してくれる仲間を募ろうと地元を盛り上げようと活動しているグループのリーダーに想いを伝え、有志のメンバーを集めてもらいました。地元の皆さんの中にも「いつか天龍峡でライトアップイベントを」というアイデアがあって、ぜひ一緒にやろう!とプロジェクトがスタートしました。
想いを共感に変えて
天龍峡を愛してやまない地元の方たちとの企画会議は、それはそれは白熱したものになりました。「けが人が出ないようにするには…」「開催時間は…」など、何度も何度も議論を重ねました。
地元のメンバーが「天龍峡を沢山の人に知ってもらいたい」という想いを叶えるために「自分事」として取り組む熱い姿勢は、地元で暮らす住民の皆様にも届き共感を生みました。その証拠に、イベント開催に直接関係のない沢山の住民達が私たちに出来ることがあるならとSTAFFゼッケンを背負って協力してくれたのです。
想いをカタチにする
想いをカタチにする為に、地元の沢山の企業や飲食店、農園さんに協力していただきました。プロジェクションマッピングの演出は地元の「サーチャー」さんに所属されているデザイナーの遠藤さんにお願いしました。天龍峡にある農園さんからは、市場には出せない訳ありのリンゴを提供していただきそれでカレーを作ったり、お土産品や名産品を開発したりと、地産地消のサスティナブルな取り組みにも力を入れました。
コロナ過での開催を考えて「スマホで出来る非接触型のスタンプラリー」を取り入れ会場となる天龍峡第二公園をゆっくりと回遊してもらうことで、長時間滞在してもらえる仕組みを作りました。
想いを届ける
やっとの思いで実現した、初めての開催は2021年の2月。
集客数は21,000人で、2月の天龍峡平均観光客数約10,000人の2倍の数を、開催期間(2週間)の夜だけで集客しました。想像以上の大成功でした。
地元の住民の方からは、「閑散期の天龍峡にこんなにも人が集まるなんて信じられず、観光客のピークだった1990年代を思い出し、目頭が熱くなった」といった声も聞かれました。
地域活性のイベントを1ヶ月でプレオープンまでこぎつけ、成功に至った最大のカギは
そして、その想いが沢山の地元住民へ伝染したこと
だと思います。
第1回開催の成功を受けて、2022年2月に第2回を開催。
第2回開催では、1回目の反省点を活かして、会場を回遊してもらうためのデジタルスタンプラリーの実施や、夜市の開催、インスタLIVEの配信など、新たな取り組みも多数実施しました。グランドオープンには飯田市長も点灯式に駆け付けていただき、長野県内の全テレビ局でその模様が放送されました。
残念ながら、第2回は新型コロナ感染拡大の影響で、会期の短縮や来場制限などもあり集客数を伸ばすことは叶わなかったのですが、イベント主催側の地元住民だけでなく、参加いただく方々・イベント出店者の方々からの満足度も良好で、天龍峡周辺の盛り上がりに手ごたえを感じることができました。
3回目の開催に向けて取り組む新たなチャレンジ
2年連続でイベントを実施し、地元住民の熱量も上がってきた中、現在第3回開催に向けて準備を行っています。さらに今年は一つ新たなチャレンジを行うことにしました。それは資金調達です。
これまで開催費用は国の補助金で賄ってきましたが、補助金が減額となったこともあり、今年は必要な資金の半分を自分たちで調達するという目標を立てました。
現在、クラウドファンディングで応援を募ったり、スポンサーとなっていただける方を探したり、新たに入場料を設定したりなど、地元天龍峡温泉のメンバーを中心に、第3回の成功を願って奮闘しています。この取り組みを持続可能なものにしていくためには、補助金に頼っているばかりではいけません。今回の挑戦は、自走化するための良い機会だと捉えています。
さいごに
当時は「どうせ、この時期天龍峡になんて人は来ない」と思っていた人達は沢山いました。しかし、このイベントをきっかけに閑散期でもきちんと準備をして質の良いイベントを開催すれば、観光客は来る。という意識に変わりました。
今回の集客のかなめとなったのは「何を目的に、どんな想いで、どう伝えるか」を企画実行したことであり、プロジェクションマッピングはその手段に過ぎません。
そして地域活性のイベントは、集客だけが利点ではありません。そのイベントを通して地域全体がより団結したり、きずなが深まるきっかけにもなります。閑散期だからといって諦めて、ただ来てくれる人を待つのではなく、自分たちで観光資源を創り閑散期だからこそ、積極的にアクションをしていくことがとても重要であると、自信を持って言えます。
いかがでしたでしょうか?宿屋と町が寄り添い、ともに栄えていくという思いを胸に、
地元の皆さんと一緒になって取り組んだ事例をご紹介しました。ご覧いただいてる皆様の中にも、地域を盛り上げようと日々奮闘している方々が多くいらっしゃると思います。
ささやかながら、私たちもそうした皆さんとともに、地域を盛り上げていくべくこれからも奮闘して参ります。
今回お話を伺った「天龍峡ナイトミュージアム」の
クラウドファンディング詳細についてはこちらからご確認頂けます
ご興味ある方は、是非ご覧ください
https://readyfor.jp/projects/tenryukyo_lightup
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