宿泊施設DX化への取り組み事例!業務負担軽減に繋がる客室タブレット導入の裏側をインタビュー!
2022. 10. 25
最終更新 2024. 06. 18
目次
皆様は、館内情報の発信や滞在しているお客様とのコミュニケーションをどのようなスタイルで行っていますか?
非接触型の接客スタイルも相まって、お土産店舗や客室での直接会話をすることへの配慮が必要になりました。
ところが、非接触で館内案内をするはずのファイルブックは、過去の古い情報がそのまま掲載されていたり、見た目にも年季が入っていたりして、お客様の手に取ってもらいやすいとは言い切れない状態のものちらほら。
さらには、「お困りの際はフロント内線へどうぞ」とお伝えはしたものの、人手不足でフロントに人がおらず、逆にお客様の不評を買ってしまったり…。
宿研通信でおなじみになってきている渓谷に佇む隠れ宿 峡泉でも同じような悩みを抱えていましたが、解決策のひとつとして最近ITツールである客室タブレット「crotta(クロッタ)」を導入しました。今日は、その効果と実態を早速インタビューしてみましたのでご紹介します。
取材協力
峡谷に佇む隠れ宿峡泉 / 株式会社宿研 宿運用開発室 大西拓也
2020年度「日本の小宿10選」に選出された、長野県天龍峡温泉にある「渓谷に佇む隠れ宿 峡泉」。全8室の隠れ宿は2022年に3回目のリニューアルOPENへ踏み出した。今回は宿運営開発室の大西さんを直撃し、峡谷に佇む隠れ宿峡泉が導入した「客室タブレット」のメリットやデメリット、導入の経緯を根掘り葉掘り訊いてみた。
―大西さん!最近、峡泉さんで客室タブレットを導入したという噂を聞きつけました。
そのことについて、今日はいろいろとお話を聞かせてください。
大西:耳が早いですね! 勿論です!
―どんな問題や悩みがあってITツールの導入を検討する運びになったのでしょうか。
大西:峡泉は客室数が8部屋しかない小さな旅館ですので、スタッフも少人数で運用しています。
そうした中、滞在中のお客様からの問合せが重なると、その都度対応に追われて他の業務に支障が出ることもしばしばあり、ITツールの導入を考えるようになりました。特に頭を悩ませていた問題は以下の3つです。
・フロントにスタッフを常駐できないので内線の対応が大変
・客室に置いている案内Bookの情報が少ない&更新作業が面倒
・コロナ対応も相まって、客室へ直接お伺いする頻度やタイミングの判断が難しくなった
―なるほど、導入の背景は「スタッフの業務削減」と「コロナ対策」だったのですね。
ちなみに、ITツールとして、客室タブレットを知ったきっかけは何ですか?
大西:支配人がプライベートの旅行でたまたま客室タブレットに出会い、その見やすいデザインと豊富な機能、使いやすさに感動したことがきっかけです。
―今回は「crotta」というタブレットを導入されましたが、他の製品も検討しましたか?
大西:もちろん、他の客室タブレットも検討いたしました。
crottaにあって他社製品になかったポイントが、大きく分けて3点ほどあり、決め手となりました。
1. デザインが優れている(高級ホテル・旅館・会員制ホテルにも認められたデザイン性)
2. 業務効率化・宿泊者の客室体験を実感できる豊富な機能(特に内線機能の利便性が高い)
3. 細かな部分まで操作できる管理機能(他社の場合はテキストや写真変更でも依頼する必要あり)
―具体的にどんなシーンで客室タブレットを活用されているのでしょうか。
大西:峡泉で課題となっていた以下の4つのシーンで活用することにしました。
1. サービスオペレーション(サービスの案内をする)
2. 施設・設備(施設設備の情報を確認してもらう)
3. 物品販売(お土産品を紹介する)
4. 宿泊客コミュニケーション(内線を可能にする)
―実際、使ってみてどうでしたか?先ほどの4つのシーンごとに、どんな効果があったか
教えてください!
大西:効果は想像以上にありました。順番にご説明しますね。
1.サービスオペレーション
「よくある質問」や「館内情報」などの情報を盛り込んだことで、非対面での情報伝達が可能となりました。
お客様の中には対面接客に対して不安を感じられる方もいらっしゃるので、お客様・スタッフの双方にとってストレス低減にも繋がっております。
2.施設・設備
元々客室でゆっくり寛いでいただくお客様が多いので、普段から馴染みのあるタブレットで簡単に館内や周辺情報を閲覧できる点が、客室の設備として大きな付加価値となりました。
3.物品販売
客室タブレットでお土産品の紹介をしたところ、部屋でゆっくり過ごしながら見られるからと大変ご好評いただきました。店頭のPOPで説明するより詳細な商品のPRができますし、お客様自身の購入までの意思決定が速くなったイメージがあります。お取り置きの相談も増えました。
4.宿泊客コミュニケーション
内線電話導入(オプション機能)による固定電話脱却で、スタッフが場所に縛られずに業務へ従事することが可能になりました。
固定電話の頃はフロント直通のため、フロント近辺で作業する必要があったのですが、専用スマホになったことで、スタッフの業務負担軽減となりました。
―お土産品をお部屋でくつろぎながら眺められるって、良いですよね。
ルームサービスも客室タブレット一つでお酒が頼めるなら、頼んでしまうかも。
大西:そうなんです。
実際、導入前は感染リスクを受けてお土産ショップへの立ち寄り数が減少していたのですが、タブレットを導入した後は、内線での取り置き注文が増加し、2022年の4月・5月・6月の三か月連続で物販売上が昨年対比180%という結果になりました。
また、ルームサービスも気軽にご利用いただけるようになり、1組あたりの宿泊単価も昨年対比120%まで増加しました。
―ITツールはチェーンホテルさんがよく導入しているイメージが強くて、小規模旅館にあるイメージはあまりなかったのですが、小規模旅館さんならではの上手な付き合い方というか、使い方はあるのでしょうか。
大西:スタッフひとり一人にマルチタスクが求められる小規模旅館こそ、ITツールによる業務効率化・作業負担軽減を推進する必要があると考えております。冒頭でもお話しましたが、元はコロナ禍による客室内線の問い合わせ増加対策として導入しました。
あくまで接客の主役はスタッフですが、それを補助してくれる位置づけとしてこのようなITツールを上手く活用していくことは理想的だと考えています。
また、簡単に多言語化対応が可能なので、これから徐々に増えるであろう海外からのお客様対応においても心強い味方です。人材不足の中、多言語が話せるスタッフを採用せずとも、外国からのお客様へ様々な情報が伝達できることは非常に魅力的だと思います。
―なるほど。でも一方で、普段の生活に馴染み深いアイテム(タブレット)だと、作り上げた空間や世界観を崩すこともありますよね。
非日常の滞在体験を提供してくれる「高級旅館」にあると逆に現実に引き戻される気もするのですが、常連のお客様はすんなり受け入れてくださったのでしょうか?
大西:ほとんどのお客様からは、客室案内時に客室タブレットをご紹介した際「すごい!便利なモノがあるのね~!」とご好評いただいております。
実際に客室タブレットに対するご利用者アンケートでも「使い勝手が良かった」「必要な情報をすぐに見つけられた」「欲しい情報が載っていた」など、導入効果を感じるコメントも頂きました。
客室タブレットというと、割と機械的なデザイン画面を想像されるかと思いますが、この点、「crotta」は表現のデザイン性の高さから宿のイメージに合わせやすいため、客室に置いても浮かず、あまりマイナスな要素にならなかったのだと思います。
―なんだかいい事尽くしですね!荒探ししたくなってしまいます…(笑
使ってみてマイナスだったことって無いんでしょうか?
大西:そうですね…当然と言えばそうなのですが、新しいツールを導入した分、これに関わる管理業務は増えました。
十分に活用するためには、crotta専任担当が現場にいないと難しいと思います。
crottaはPMSとの連携が可能で「オーダー機能」や「施設予約」等の顧客管理データを連携させることができますが、施設案内等のページの更新(テキストや写真)は専用の管理画面から手作業で行う必要があります!(更新作業はとても簡単なのですが…)
―この先、試してみたい客室タブレットの新しい活用方法って何かありますか?
大西:周辺観光の体験紹介機能(ACTIVITY JAPAN連携)というものがあり、それは是非使いたいです!
峡泉周辺もアクティビティ(果物狩りやそば打ち体験・ラフティングなど)が沢山あるので、宿側に予約作業が発生せず、お客様自身で周辺の気になるアクティビティを予約して頂くという機能が非常に魅力的ですね。
―最後に、ITツールの導入を検討されている施設様へひとことお願いします!
大西:ITツールはそれぞれの施設との「相性の良し悪し」があると思います。
峡泉でも運営課題を抽出し優先順位付けを行った上で、課題解決に繋がるITツールを探しました。
ITツールを入れることが目的とならないように宿の課題を明確に洗い出しておくことが、より導入効果の高いITツールに出会うためのポイントだと思います。
―大西さん、ありがとうございました!
crottaのサービス商品詳細WEBはコチラ
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PDFでの商品詳細は以下からダウンロードいただけます。
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