【学生旅行・卒業旅行の集客に】~アンケート結果から見る若者の旅行傾向とマーケティング戦略のヒント~
2023. 01. 10
最終更新 2024. 06. 18
目次
多くの観光地では閑散期となる2月・3月が間近に迫ってきました。
この時期、もっとも活気づくお客様層の一つが「学生」さんではないでしょうか。
コロナによる行動規制のない今年は、全国旅行支援の延長も決まり、更に活発になりそうな学生旅行。
そこで今回は、学生旅行の傾向とホテル・旅館のWEBマーケティングのヒントをご紹介したいと思います。
-------------もくじ--------------------------
学生旅行3つの傾向
学生集客における3つのメリット
学生旅行を取り込む5つのヒント
学生旅行3つの傾向
① 旅行先の見つけ方
ー 旅行に欠かせないSNS
Z世代*とも呼ばれる学生たちが旅先を探す際にまず注目するのはSNS。
学生たちは普段から、SNSで気になる情報(旅行先や宿を含む)を保存し、ストックしています。
そして旅行先が確定すると、SNSでの画像や動画による情報を元に「旅行先でどのような体験ができ、写真・動画が撮影できるか」を調べます。
さらに不足する情報はGoogleやWEBサイトで補填しながら、旅行の設計・プランをより具体化していきます。
Z世代*・・・20代前半から10歳前後の年齢の人を指す(2022年時点)。インターネット環境での情報収集が当たり前の時代に育った、「デジタルネイティブ」とも呼ばれる世代。社会問題への関心も高く、購入時は「自分の価値観に合うかどうか」といった視点を重視する傾向がある。
②人数や日数・宿泊予算
ー 少人数の旅行で平均予算は1万弱
SHIBUYA109 lab.「Z世代の旅行・おでかけに関する意識調査」によると、学生たちが一緒に旅行したい相手は、家族や恋人を抑えて「仲が良い友人」が圧倒的多数となっています。また、グループサイズは1~3人の少人数が多くなっています。
サークルや部活関連での集まりとなると4人以上の大人数の旅行となり、一棟貸切りや貸別荘・コテージ等も宿泊施設としての選択肢に入ってきます。
出典:SHIBUYA109 lab.「Z世代の旅行・おでかけに関する意識調査」https://shibuya109lab.jp/article/220614.html
また、直近の国内旅行にかかった費用(1回あたり)については、男子は平均45,730円、女子は平均39,695円となり、女子よりも男子の平均金額が高い結果に。
一方、女子は宿泊にかける全体の割合が27.1%と男子よりも高く、宿泊先を重視する傾向がありそうです。
出典:SHIBUYA109 lab.「Z世代の旅行・おでかけに関する意識調査」https://shibuya109lab.jp/article/220614.html
③ 旅の目的
—「誰と何処で楽しむか」が第一優先
特に、思い出を作る為の卒業旅行となると、現地で楽しめるアクティビティやコンテンツはとても重要です。
旅行先を決める際のこだわりとして、友達とどんな思い出が残せるかや何を食べられるかは優先度が高くなっています。宿泊先についても、こうした価値観の下で選択されていることを想定しておくとよいでしょう。
親しい人との旅行やおでかけの行先を決める際、あなたのこだわりやこだわりたいことを教えてください。(複数回答)
学生集客における3つのメリット
1. 室単価UPが望める
グループサイズのコンパクト化が進みつつあるとはいえ、他の旅行に比べて1室あたりの利用人数が多くなりやすい学生旅行。一定の客室単価が望めるのはありがたいですね。
受入れ人数の絞り込み設定(3名以上~)をしたり、定員毎に料金を調整したりすることで、室単価アップに繋げる工夫をするのもよいでしょう。
2. SNSにおける広告塔の役割
SNSは旅マエの情報収集で使われるだけでなく、旅ナカ・旅アトに「発信・投稿」されるケースも多くあります。
最近は、この「発信」を上手く使ったキャンペーン企画もよく見かけます。
例えば、SNSへの投稿者の中から学生アンバサダーを選出し、選ばれたアンバサダーたちには、宿をお得に楽しめる「次回の無料宿泊券」がプレゼントされるキャンペーン企画などです。
他にも、お客様のアカウントのフォロワーの数×1円で値引きする「フォロ割企画」も飲食店を中心に話題になりました。(※最大5000円等の割引上限を設けるケースも)
「学生は、タグ付けをして投稿するとお得になり、宿は広告効果が見込める。」
このように、お互いに利益がある販促活動は、普段からSNSを使い慣れた学生には受け入れられやすいでしょう。
3. 平日対策となりうる
長期で春休みや夏休みを取ることができる学生は、混雑する週末を避け、よりお得な平日に動くことも多くなります。冬の閑散シーズンに取り込みたい宿泊施設さんにとっては狙い目です。
例えば、「学割プラン・学生応援プラン」等で、集客が落ち込みやすい期間や曜日限定のお得な宿泊プランを用意してみてもよいでしょう。
学生旅行を取り込む5つのヒント
学生旅行(特に卒業旅行)は、旅行の目的は宿ばかりではありません。
現地での観光や食事を目いっぱい楽しみたい学生向けに、素泊まりや一泊朝食付きなど「食事や時間の自由」がある宿泊形態も喜ばれる傾向にあります。門限を設けない・持ち込み可能なども◎。
また、キレイで新しいものばかりではなく、「温泉宿の卓球台」「瓶牛乳」など、歴史や時代を感じる、レトロでエモーショナルな(エモい)コンテンツも意外と喜ばれます。
販促活動でGoogleやSNSで網を張ることはとても重要ですが、最終的に予約に繋がるOTAでのプラン造成や対象のキャンペーンへの参画は、抜け漏れなく対応しておきたいところ。
特典を用意の上、プラン内容にキーワードを盛り込むだけで参画できるOTA特集もあります。
<楽天トラベルの場合>
プラン名・プラン内に以下の文言を入れると、学生旅行特集の「お得に泊まれるプラン」の各カテゴリーに参画でき、特集ページに掲載してもらえます。(いずれも何らかの特典や条件が必要です)
・お得に泊まれるプラン特集 【学割】【平日限定】【連泊】【直前割】
・一緒に行く人別プラン特集 【女子会】【女子旅】【学生 グループ】【母娘】【カップル】
<パッケージプランへの参画>
長期休みが確保でき、少しでもお得な旅を求める学生向けだからこそ、集客キャンペーンは旅行に関わる飛行機・レンタカー・新幹線などがセットとなった、いわゆる「パッケージ旅行」も絡んでくることが多いです。
キャンペーンバナーからまとめて予約すると安くなるパッケージプランを選択する学生も多いので、OTAでのパッケージ販売は是非おさえておきましょう。
販促費の予算がある宿泊施設さまは、SNSでの広告を検討してみてください。
Instagramの広告はGoogleなどのリスティング広告よりも価格が安く、1日あたり1$(100円前後)という低予算ではじめられます。
さらに、ユーザーの性別、年齢、居住地などのデモグラフィック情報に加え、興味関心や、Instagram上での行動データなどを元にターゲットを設定することができるので、精度の高いターゲティングが実施できるメリットもあります。普段からSNSとの接触が多い学生をターゲットにした広告は、費用効果も高いのではないでしょうか。
周辺にアクティビティやテーマパークがある場合は、そこへのアクセスや送迎なども魅力的なサービスのひとつになります。最近では、周辺観光地を気軽に回れるよう、電動キックボードや電動アシスト自転車を常設する宿泊施設も。
話題性があり、自由に使えるアクセスツールは若者からの評価も上がりそうですね。
気の知れた友人同士で泊まる楽しいひとときだからこそ、ついつい深夜までお酒を飲んでハメを外してしまったり、他のお客様もいる中で配信・撮影を行ったりする学生さんに遭遇する可能性もあり得ます。
他のお客様からのクレームになりそうなことの事前回避も大切です。中には、友人同士での旅行が初めての学生もいるでしょう。
部屋割の工夫はもちろん、ロビーやレストランなどの共用スペースでの撮影に関する配慮のご案内など、起こりうるリスクの事前予測、いざという時の対応出来る体制づくりも大切です。
さいごに
今年の学生旅行は、訪問地の選択には多少変化があれど、旅行形態自体は大きく変わらないものと思われます。
閑散期のターゲットとしてだけでなく、SNSにおいても存在感を示す学生の拡散効果は、宿の宣伝において心強い味方となる可能性を秘めています。
予約チャネルでの準備もちろん、SNSを上手に活用しながら、戦略的に学生旅行を取り込みましょう。
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