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マーケティングに役立つ宿泊アンケート事例!ホンネを引き出すテクニックや回答率を上げるポイントとは
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マーケティングに役立つ宿泊アンケート事例!ホンネを引き出すテクニックや回答率を上げるポイントとは

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2023. 05. 23

最終更新 2024. 09. 02

マーケティングに役立つ宿泊アンケート事例!ホンネを引き出すテクニックや回答率を上げるポイントとはのキービジュアル

目次

    ホテルや旅館にとって、顧客の満足度や不満点を把握し改善に取り組むことは欠かせません。その手段として、顧客アンケートは非常に有効なツールの1つといえます。

    そんな中、顧客アンケートを実施しているだけでうまく活用出来ていない。なかなか回答をしてもらえない。そんな宿泊施設様も多いのではないでしょうか。どのような目的でアンケート項目を用意し、どのように回収・分析するかによって、顧客アンケートの有効性は大きく変わります。

    今回は、ホテルや旅館のマーケティングにも有益な顧客アンケートについて、質問項目やホンネを引き出すテクニックなどを解説し、回収から活用方法まで網羅的にご紹介していきます。

    顧客(宿泊)アンケートの概要

    顧客アンケートとは

    顧客アンケートとは、顧客の満足度やニーズを把握するためのアンケート調査のことで、顧客起点のサービス、販促活動を行うために欠かせない調査方法の一つです。宿泊施設では「宿泊アンケート」とも呼ばれ、顧客満足度や不満足点、意見を収集することで、改善やニーズの発見、新サービスの開発などに役立てようとしている施設様が多く見受けられます。

     

    OTA・GoogleのクチコミやSNSエゴサーチとの違い

    顧客の意見やフィードバックを収集する代表的な手法としてOTAをはじめとする、ネット上の口コミ、SNS上でのエゴサーチなどが挙げられます。クチコミ分析やエゴサーチを定期的にしていれば、顧客アンケートは廃止してもいいのではないかという考えも出てきますよね。
    この2つの手法と、顧客アンケートの最大の違いは「定量的なデータとして収集できる」「知りたい項目を施設側で操作できる」という点です。

    例えば「宿の情報を何で知ったのか」という認知箇所や検索経緯は、マーケティングにおいて重要なデータですが、こういった内容はクチコミやSNS上の投稿から必ず得られるものではありません。
    同様に「新サービスの反応が知りたい」という場合も、クチコミやSNSだけでは定量的に反応の変化を測ることが難しいです。このように施設側の知りたいことを引き出し、定量的に判断するためのツールとして「顧客アンケート」を活用するのであれば、まだまだ取り組む意味はあるといえます。

    では、実際に宿泊者への顧客アンケートを実施するにあたって、どのような点が大切になってくるでしょうか。押さえておきたい「基本ポイント」について順を追ってご紹介します。

    アンケートの目的を明確にする

    まずは、実施する目的を明確にしておくことが非常に重要です。目的が決まっていると、質問のスタイルや内容も決定しやすくなり、アンケート自体の効果や有効性が上がります。

    一般的に顧客アンケートの目的は「顧客の満足度を図るため(満足度調査)」と「顧客の潜在的なニーズを把握するため(意識調査)」の2つに分けられます。中には、満足度調査と意識調査の両方を混合しているケースもあります。
    自社で行うアンケートは何を目的にするのか、データをどのように活用したいのかを決定するところから始めてみてください。

     

    ◎顧客満足度を調査する場合の目的例(満足度調査)
     <テーマ:どのくらい満足できたか>
     ・サービスや商品の反応を定期的な観察・調査をするため
     ・課題・問題の分析や仮説の検証をするため
     ・企業やブランド全体の評価を知るため

    ◎顧客ニーズを把握する場合の目的例(意識調査)
     <テーマ:理想の宿とは何か>
     ・新商品・新サービスの開発につなげるため
     ・効果的な販売促進方法を見いだすため(広告の効果測定など)

    ホンネを引き出すアンケート作成方法

    次に実際の質問内容についてお伝えしていきます。
    前述した通り、顧客アンケートの最大の利点は「施設が聞きたいことを引き出せる」ことにあります。

    ただし、質問の内容を工夫しなければ顧客のホンネを引き出すことは非常に難しいです。
    聞きたいことをそのまま投げかけるだけでは、お客様自身も自覚していない「潜在的ニーズ」を掘り出すことはできません。

    では、ホンネを引き出すための質問の仕方とはどういうことなのか?具体的にご紹介していきましょう。

     

    ホンネを引き出す質問テクニック例

     

    1.)前書きには目的やメリットを記載する

    顧客アンケートの冒頭に記載する前書きにはアンケートの目的や答えることで回答者が得られるメリットを必ず記載するようにしましょう。
    ポイントは、①目的がわかる ②信頼できる ③メリットがある この3つの情報が記載されているかです。

    前書き例
    この度は宿研ホテルへご宿泊頂き、誠にありがとうございます。
    当館は××で△△なホテルになるべく、お客様のご意見をもとに、一層のサービス向上・改善・開発に努めてまいります。ぜひ率直なご意見をお聞かせください。(所要時間目安:1分)
    ※なお、ご回答頂いたお客様には当館よりささやかなプレゼントをご用意しております。


    2.)選択肢に「その他」を必ず設ける
    選択項目を作る際、自社で想定しているものだけを並べずに「その他」の選択肢を設けておくことは大切です。

    Before
    Q.ご滞在中一番心に残ったことは何ですか?
    □お部屋  □温泉  □料理  □売店  □スタッフ

    例えば上記のような選択項目だと、お風呂上りに飲んだ「瓶のコーヒー牛乳」が一番印象に残っていたとしても、与えられた選択肢の範囲内で答えようとします。そのため、レトロで懐かしい気分になる瓶牛乳がお客様の満足度を上げたという事実を知らないままに終わってしまいます。

    After
    Q.ご滞在中一番心に残ったことは何ですか?
    □お部屋  □温泉  □料理  □売店  □スタッフ 
    □その他【                              】


    3.)満足度を測る時は点数式にする方法がある
    顧客の満足度を図る際によく見る設問として、選択式の5段階評価があります。この設問方法は回答がしやすい上に、次の質問で具体的な改善内容を記入してもらうことも可能になる使いやすい質問方法です。

    Before

    Q1.今回のご宿泊の満足度を教えてください
     ▢たいへん満足 ▢満足 ▢どちらとも言えない ▢不満 ▢たいへん不満

    Q2.改善すべき箇所・気になる点等があればご記載ください
    【                              】


    上記の事例のような質問の場合、人はよほど嫌な思いをしない限り、回答する際に「どちらともいえない」「満足」「たいへん満足」を選ぶ方に心理が働きます。さらに、それに続く質問の仕方では、「満足」以上の選択をした方は答える必要性自体を感じなくなります。

    より効果的に満足度、改善点を収集する手段の1つとして「点数を付けさせる」という方法があります。

    After

    Q1.今回のご宿泊の満足度は10点満点中、何点ですか?
    【 】点
    Q2.「これがあれば満点になるのに」ということがあれば教えてください
    【                              】


    これは数値的に評価をさせることで、厳密であろうとする心理が働き「10点満点」を付ける人が少なくなります。大変満足と答える方も点数式にすると8〜9を選ぶ方が多いでしょう。

    そして、満点にするためのあと一歩を問うことで、「なぜ自分は8点にしたのか?」と疑問に思い「-2点」の具体的な部分を考えてもらうことができます。「Q1で満足度を測り、Q2でニーズや課題を探る」質問の目的はどちらも同じですが、質問の方法を少し工夫するだけでさらなる情報を引き出すことができます。

    ※この場合のQ2は、極端に低い点数をつけた方や10点を付けた方にはあまり意味を成さないものです。
    WEBアンケートにすると、7〜9点台を選んだ人にだけ次の質問が出てくるようにする分岐設定も可能です。

     

    4.)意識調査をしたい時は「自分事」で考えてもらえるかを考慮する

    お客様のニーズを探る意識調査は、施設側の知りたい気持ちが先走ってしまい無意識に「圧」のある質問になることも多いです。例えば、お客様が良いと思う宿の特徴から共通点を探り、今後の運用のヒントにしたいと思い下記のような質問をするとします。

    Before

    Q.「あなたにとっての良い宿の条件とはなんですか?」
    【                             】


    けっして悪い例ではないですが、施設側が調べたいことをそのまま投げる質問は、ちゃんとしたことを書かなければいけないという、目に見えない「圧」を感じてしまいます。では、どのような問いかけがよりベストでしょうか。

    After

    Q.友人に当館の説明をするならどのように伝えますか?
    【                             】
    Q.宿を選ぶ際の「譲れない条件」を2つ教えてください
     ▢立地  ▢ 部屋  ▢料金  ▢ 食事内容 ▢雰囲気  ▢クチコミ ▢浴場 ▢その他
    【                             】
    Q.過去の宿泊体験で心に残っているエピソードを教えてください
    【                             】

    このように質問テーマの粒度を少し落として、「自分事」で考えられる問いかけにすると、一気に答えやすくなり「具体的な回答を引き出しやすく」なります。


    5.)自由記入は広くとる

    アンケート終盤にはよく見かける「ご意見・ご要望」の記入欄は施設側が「手に入れたい」と思っていない情報を思いがけずもらえる場所なので出来る限り設けましょう。

    例えば「照明のスイッチが分かりにくかった」や「リモコンが効きにくい」等、普段から働いているスタッフからは慣れた景色の一つで盲点になりがちなことも発見できます。

    その際、記入欄のスペースが少ないと、記載される内容も少なくなってしまいます。
    空白があるとそれを埋めようとする心理が働きます。是非自由記入欄を設ける際は、出来る限り広く取るようにしてみてください。

    参考:クリアン https://kurian.jp/

    回答率を上げるポイント

    良いアンケートが作成できてもお客様に回答してもらわないと意味がありません。アンケートで一番頭を悩ませるのは「回答率の低さ」という施設様は少なくないと思います。では、回答率を上げるために意識すべき点とは一体何でしょうか。ポイントとなることを押さえていきましょう。

     

    アンケートの存在を認識してもらう

    まず、顧客アンケートは実施していること自体に気づかれないケースがあります。
    テーブルの隅や施設の入口などに置いておくだけでは、視界に入らなかったり、視界に入ってもきっかけが無い限り、気に留める客様が少ないのが現状でしょう。
    そのため、まずはお客様にアンケートの存在に気付いてもらうための工夫が必要です。
    気付いていただく一番効率の良い手段は意外にも「お声がけ」であると言われています。よくしてもらった仲居さんやスタッフの方から、よかったらご意見くださいとお声がけされると回答しようかという気持ちも高まります。

    チェックポイント&アイデア

    ✓目を引くデザインのPOPになっているか
    ✓客室タブレットや客室TVなど、利用されやすいデジタルデバイス上で表示
    ✓レシートにアンケートQRコードを印字する
    ✓SNS(公式LINE)などを活用する
    ✓客室に案内する際・チェックイン・チェックアウト時にさりげなくご案内する
    ✓お客様が時間を持て余す場所に置く

     

    回答方法の選択肢を広げる

    従来の顧客アンケートの取り方は、ペンで直接記入する方法の「紙アンケート」でしたが、最近はWEBアンケートが主流になってきています。QRコードを利用して読み込み、スマホ操作で簡単に答えていただくことが可能で、データの集計もしやすいという施設側のメリットもあります。
    さらに、公式LINEやその他SNSのアンケート機能を活用し、フォロワーや友達を増やしながらアンケートも回収出来る手法を取っている企業も増えています。

     

    面倒臭さや不信感を払拭する

    お客様のほとんどは、「アンケート」に対して「面倒臭い」「個人情報漏えい」といったネガティブな印象を持たれています。最初から回答自体を嫌煙したり、内容によっては回答途中で面倒になって離脱することもあります。
    そのため、アンケート回答に時間を割くメリットを感じてもらうようなインセンティブを用意したり、明確な回答時間の提示や、お願いするタイミングを工夫するなど「それなら答えてみようか」「今だったら答えてもいい」といった心理になってもらえるよう、ハードルを下げる必要があります。

    個人情報を記入するアンケートでは、情報の扱われ方に不安を感じることがあるので、「何のためのアンケートなのか」「回答した情報は何に使われるのか」などの目的や用途の説明はもちろん、個人の情報を記載してもらう際に個人情報の管理方法についての提示が必要になります。

    チェックポイント&アイデア

    ✓インセンティブを用意し、その旨を記載する(特典・景品・次回利用できる割引券等)
    ✓回答時間を提示する
    ✓設問数はできるだけ少なくする
    ✓自由回答欄は必要最小限に抑える
    ✓ユーモアのある表現やイベント事と絡める
    ✓アンケートの用途や目的を明確に記載する
    ✓個人を特定出来ない範囲の情報記述に留める
    ✓個人情報の管理方法について説明を記載する

     

    お客様の意見が反映されていることを伝える

    アンケート回答をしていただけないお客様の中には「どうせ答えても意味がない」と思われている方もいます。
    館内で新しく取り入れたサービスや商品等が顧客アンケートからヒントを得たものであればさりげなくアピールし、施設側の「改善への姿勢」を魅せることも大切です。

    例:大浴場近くの休憩処にフリードリンクバーを設置した際、「お客様の声により導入いたしました」と記載し、その近くにアンケートのQRコードを置く

    このように、「実際に意見が反映された」という事実や証拠を見せるという手法は固定概念を取り払うのにはうってつけです。
    更に、顧客が「へえ、リクエストが反映されたんだ・・・」と思ったタイミングで貴方の意見が採用されるかも!というタイミングでPOPとともにアンケートのQRコードが目に入るようにしておきます。
    客室の案内Bookの中にただ挟まっているだけのアンケートと比べると、回答率は変わるでしょう。

    実際のアンケート活用事例

    さて、回収したアンケートのデータをどう調理するかは最も重要なことです。
    回答してもらうことに必死になって回収したら満足していては意味がありません。
    事例を挙げながら具体的な活用方法をご紹介しましょう。

     

    1.満足度調査を新しい施策の反応データ(指標)として活用する

    お客様の満足度を調査するアンケートの場合、継続して集計作業を実施することで、月ごとの変化を見ることができます。4月からアンケートの集計を始め、8月から値上げと共にメニューのボリュームアップをした場合
    8月以降に【料理のボリュームはどうでしたか?】という回答で、満足度が上昇するのかなどの比較がとれます。

    量が増えた事によって、お客様の満足度は本当に上昇するのか?だったり、何%上昇したのかという具体的な数値でわかります。
    思っていた以上に反響がない場合、全体のお客様満足度をあげるためには、量を増やすのではなく「質」を上げる方向にすべきだというように、次の施策のヒントになります。

     

    2.意識調査を新サービスや商品開発のヒントにする

     

    無印良品

     

    人を選ばないデザインで機能性の高い生活用品を扱う無印良品は、ホームページ内で商品に関するリクエストを集め、「お客様の声」から新商品の開発を行っていました。
    累計200万個以上売り上げた「体にフィットするソファ」など、誰もが知る大ヒット商品も「お客様の声」からアイデアを得ていました。現在、くらしの良品研究所は2022年1月終了していますが、お客様が求めている事や些細な「リクエスト」を柔軟にサービスや商品企画で採用・反映し提供をすることは是非マネをしたい活用方法だといえます。

     

    3.自社商品・サービスのアピールとして活用する

     

    日本の代表的なコンビニエンスストアチェーンのひとつである「ローソン」はお客様からの声をそのまま企業イメージ向上や広報用途として活用しています。お客様より寄せられた心温まるエピソードの一部を紹介するだけでなく、お客様の声から更にアップデートした商品やサービスを紹介することで、顧客と共に事業を作っていくという姿勢を前面にアピールしています。

    さいごに

    顧客アンケートを作成・実施するうえで理解しておくべきことは、宿泊客は自分の「不満」や「要望」は知っているけれど、「本当に欲しいもの」は知らない、言語化できていないということです。つまり、あなたが欲しいサービスは何ですか?と聞いてもその回答から簡単に「本当の答え」は得られません。顧客アンケートの回答には常に、本音と建前が混在しています。

    今回お伝えした質問方法や回答率を上げるさまざまなテクニックはもちろん重要です。ただし、アンケート内容を改善するだけでなく、回収したアンケートに書かれた顧客の声・数値をもとに、「宿として何を見いだすか」「企業としていかに向き合うか」――。この2つを追及することが何より大切であることを忘れてはいけません。

    お客様とより良い事業を作っていくという「姿勢」を忘れずに、まずは顧客アンケートの活用法を再度検討してみるのもいいかもしれません。

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