<ホテル・旅館向け>朝食をフックにした集客アイデア集!朝食が人気のホテル・旅館はココが違う!
2023. 11. 09
最終更新 2024. 07. 05
目次
近年、宿泊先を選ぶ際に「朝食の内容」が重要視されてきています。
楽天トラベルでは、過去に「朝ごはんフェスティバル」が開催され話題になりました。集客や顧客満足度向上のために朝食に力を入れようと考えてはいるものの、提供内容や方法でいいアイディアが浮かばなかったり、結局、周りの施設と同じような平均的な朝食になっているという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、人気のホテル・旅館で工夫されている朝食をご紹介し、その中で他でも応用できるポイントを解説したいと思います。
ホテル・旅館の朝食が重要視される理由
宿泊先での朝食は一日を元気に始める源であり、地元の味覚を楽しむ特別な機会です。朝食体験の良し悪しは満足度に影響しやすく、口コミやリピート率を高める要因にもなります。その理由を探ってみましょう。
おいしい朝食は顧客リピートを生む
2022年10月に(株)リクルートが調査した内容によれば、宿泊先を選ぶ際に「朝食の充実度」を重視する人は、2021年から2022年にかけ10ポイント増加して65.1%となりました。また、「朝食がおいしかった宿に泊まりたい」と回答した人は、87.1%に達していることが分かりました。
なぜ、満足度の高い朝食が顧客リピートを生みやすいかについては、「ピーク・エンドの法則*」が関係しています。
*ピーク・エンドの法則・・・「人はある出来事に対し、感情が最も高まったとき(ピーク)の印象と、最後の印象(エンド)だけで全体的な印象を判断する」という法則。
ほとんどのお客様は、朝食の次にすることがチェックアウトになります。宿泊施設で過ごす時間のエンド(終わり)に近い朝食の時間で、お客様の感動がピークに達すれば、宿泊施設の印象が色濃く残ります。
つまり、お客様の期待に応えられる朝食、満足度の高い朝食が提供できれば、「もう1度味わいたい」という思いからリピートに繋がりやすいといえます。
Instagram上では朝食の投稿数が圧倒的に多い
Instagramでは、宿泊施設の夕食より朝食の投稿件数が多い傾向があります。Instagramの投稿で多くのユーザーが投稿につけるのは「#(ハッシュタグ)」ですが、ホテルや旅館の食事に関する投稿を、ハッシュタグごとの件数でみると、ホテルの朝食が4.4万件に対してホテルの夕食は2233件、旅館の朝食が1.8万件に対して、旅館の夕食が1万件という結果になりました。
#ホテルの朝食 4.4万件
#ホテルの夕食 2,233件
#旅館の朝食 1.8万件
#旅館の夕食 1万件
大前提として投稿件数が朝食の方が多くなる理由は、1泊2食付き、1泊朝食付きのどちらの宿泊プランにも朝食は含まれていることや、ホテルは朝食付きプランを選ぶ方が多いことが考えられます。
さらに、朝食は朝の自然光が降り注ぐフロアで提供されるケースが多いため、写真が比較的きれいに撮れます。また、一品ずつ出てくることが多い夕食と違い、料理が一気にテーブルに並ぶことを前提に盛り付けや演出をされていたり、バイキングでは自分好みに並べることができるので、写真に撮られやすくなるとも考えられます。
つまり、「夕食」よりも投稿機会が多く、写真映えもしやすい「朝食」は、UGC*(ユーザー生成コンテンツ)経由の集客に繋げる重要な要素だといえます。
UGC*(ユーザー生成コンテンツ)・・・企業側ではなく消費者であるユーザーによって制作・発信されるコンテンツ。Instagramにアップされた写真・動画やツイートなどユーザーによるSNSへの投稿等が挙げられます。
朝食の満足度が高いホテル・旅館の共通点とは?
では、一体どのような朝食がお客様に喜ばれているのでしょうか。朝食の満足度が高い宿泊施設の共通点を探っていきましょう。
品揃えが豊富⇒魅力的に映っている
品揃えの豊富さは、宿泊施設の朝食の魅力のひとつとなります。宿泊施設を選ぶ際、2人に1人が朝食の品揃えの豊富さを重視していることが、株式会社ぐるなびの調査でわかっています。
非日常感を味わえるホテルや旅館で迎える朝は、「どんなメニューがあるのか」「何を選ぼうか」などのワクワク感や、自分では用意できないメニューを食べられる非日常感を朝食でも味わいたいお客様が多いことの表れといえます。
季節感、地域色を意識している(今後は朝食時の飲料が注目)
夕食だけでなく、朝食にも季節食材をふんだんに提供しており、季節ものを「期間限定」と謳い、お客様に「今だけ感」を与えているケースがよく見受けられます。
デザートで提供される果物もそのまま提供するのではなく、スムージーするなど提供法や食材との合わせ方を工夫していたり、食材の旬(季節)だけではない、地域の季節行事、風習という発想から朝食の提供方法、提供内容に地域色を演出する事例もあります。外国人観光客はこういった日本らしい「演出」を特に好む傾向にあります。
参考として、2023年11月22日に株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパンが発表した「2023年ホテル宿泊客満足度調査」によると、『地域の特産や季節を感じられる料理・飲み物の提供』があったホテルの朝食の満足度は、それがなかった朝食のホテルの満足度よりも100pt以上高かったと発表しています。そのなかで、同社の調査では、「朝食をとった宿泊者は、朝食をとらなかった宿泊者に比べ、総合満足度が高くなることも確認されており、魅力的な朝食を提供し、それを宿泊客に体験してもらうことが総合満足度向上につながると考えられる。」と考察しており、最後に、「朝食を始めとした「料飲」の更なる充実や喫食率向上策の実施による、宿泊客満足度の維持・向上への寄与が期待される。」と締めくくっています。
引用元:株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパン:2023年ホテル宿泊客満足度調査
本来の食べる目的や健康志向の視点
非日常感や特別感のある朝食は魅力的に映りますが、朝食の本来の目的も重要です。株式会社ぐるなびの調査では、36.5%の顧客がホテルの朝食選びで栄養を重視していることがわかりました。普段の朝食は間に合わせで食べていたり、カラダに悪いと分かっていながらも菓子パンなど罪悪感の残る朝食を摂っている人にとって、「ホテルでの健康的な朝食に魅力を感じる」という無意識の心理が働いているのかもしれません。きっと、健康的な朝食をとれることで「カラダに良い朝食がとれ、朝から気分がいい」という心理になり満足感が高まっていることでしょう。
健康意識が高い現代において、本来の食べる目的や健康志向の朝食は必須なことといえます。
朝食が人気のホテル・旅館の紹介と応用できるポイント
魅力的な朝食がウリとなっているホテル・旅館では、具体的にどのような視点で「朝食の価値」を高めているのでしょうか。実際の事例を交えながら、集客のポイントをご紹介していきます。
ワクワクする「仕掛け」や「インパクト」を重視した朝食体験
┃ホテルエピナール那須
那須高原にあるホテルエピナール那須では、高原の朝にふさわしいフレッシュさとメインターゲットのファミリー層が楽しめる「朝食体験」をウリにしています。
ウェルカムベビーのお宿としても有名なホテルエピナール那須の朝食は、大人も子供も楽しめるバイキング形式をとっており、那須でとれる極上の卵で卵かけごはんや、新鮮な卵とジャージー牛乳を使ったフレンチトースト等、近くに高原がある立地を強みにした「食の体験」を楽しめる工夫が施されています。その中で、今回注目したいポイントは、「自分で具材を挟んで作るオリジナルサンドイッチ」です。パンコーナーの近くに野菜やハム、ベーコンを敢えて配置し、ポップで自由にサンドイッチが作れることを紹介しています。
元々、好きなものを選んで食べれるというビュッフェスタイルの利点を活かして、出来上がった料理や食材を使って「新たな料理(サンドイッチ)」を作る、という二重の朝食体験を提供しています。
┃オリエンタルホテル東京ベイ
オリエンタルホテル東京ベイの朝食ビュッフェも、ウキウキできる仕掛けがたくさんあります。
専用ボックスのフックにかけられた、一口サイズのドーナツを自分で選べるウォールドーナツを取り入れ、ドーナッツを選ぶということを楽しい体験に変えています。他にもライブで仕上げる肉厚のビーフバーガーやしぼりたてのオレンジジュースなど、エンターテインメント性のあるメニューが取り揃えられています。
もちろん、千葉県産の魚介料理や白米など地元産の食材も取り入れています。朝食の集客アイデアをバランスよく取り入れた提供例です。
こちらの両ホテルでの応用ポイントは、完成されたものを食し満足することに価値を置くのではなく、食べる前の工程に体験価値を置いていることです。応用できることとして、 お客様にあえてひと手間かけさせ、完成までのプロセスを楽しんでもらう、という点に注目してみましょう。
人間には、自分でつくったモノ・コト、時間をかけたモノ・コトを高く評価しやすい心理があります。この心理が満足感に関係しています。そして、先述の通り「ピーク・エンドの法則」も相まり、満足度の高い施設という印象が色濃く記憶されます。
皆さんの施設でも、あえて未完成で料理を提供し、自分で『完成させる / 選ぶ / 見つける』という仕掛け を用意してみてはいかがでしょうか。これは夕食でも応用できる視点です。
朝食の伝え方や表現方法を工夫
提供メニューや提供方法を物理的に変えることなく、文脈で朝食に意味を持たせることも可能です。この方法は最もコストが抑えられるメリットがあります。
┃料理旅館白梅
「昭和2年生まれの元気なおばあちゃん直伝の朝食」と銘打っている料理旅館白梅の朝食は、味の美味しさに加えて伝え方や表現を工夫している事例です。だし巻き卵や豆腐など、旅館で定番とされる朝食メニューですが、作る人のストーリーを見せるキャッチコピーを設定することで、物理的な価値よりも顧客の感情に訴えかけること(情緒的価値の創造)に成功しています。
┃天然温泉 だんだんの湯 御宿 野乃松江
「天然温泉 だんだんの湯 御宿 野乃松江」では、島根県の郷土料理の割り子そばにきのこ料理、タンパク質が摂れる納豆や豆腐など免疫力が上がるといわれている料理や食材を取り揃えています。
健康志向の高い世代や、意識をしているターゲット層に響くように朝食に「免疫力UP」のコンセプトを設けて、提供している事例になります。
┃大江戸温泉グループ
引用:https://www.ooedoonsen.jp/special/chief_culinary_advisor/
ファミリー層の顧客が多い大江戸温泉グループでも、「誰が監修しているか」にフォーカスしています。和洋問わずさまざまな種類のおかずや季節の果物や離乳食を用意し、大人も子供も楽しめるように工夫されている豪華なビュッフェが大変人気ですが、HPのビュッフェを紹介するページでは、「高階孝晴氏が監修していること」を大体的にアピールして魅力を最大にしています。
そのまま掲載すると「定番の朝食メニュー」や「定番の豪華なバイキング」になってしまう場合も、このように「誰が作るか」にフォーカスしてストーリーを持たせることで朝食の価値を更に高めることが可能になります。
これらのポイントは、文脈です。誰がつくったのか、この朝食にどういう意味があるのか。この朝食を食べると何がどう良くなるのか等、それらをストーリーとして表現し、朝食の価値を文脈で創造していることです。
言葉で価値をつくる方法はもっともコストが少なく済む方法なので、誰でもすぐに実践できます。一度、皆さんの施設で提供している朝食にも、どのような人が関わり、どのような想いで、どうやってつくっているのか、また、その朝食を食べるとどのような気分で1日をスタートできるのかなど、朝食に関わるモノ・コトを様々な角度で深く考えてみてください。
新しく朝食を考えたい方は、朝食のコンセプトを考えてみることをおすすめします。
朝食のレベルアップには外部委託も選択肢のひとつ
朝食のレベルアップをしたくても現状の従業員数では難しいと感じる施設には、外部委託の選択もあります。徐々に客足が戻っている一方で、宿泊施設側では人材不足が大きな課題となっています。
ホテルの朝食バイキングを請け負う企業にアウトソーシングすれば、ホテルの接客業務に人員確保をしつつ、朝食のレベルアップが可能です。また、宿泊施設で飲食物の提供をする際に必要な飲食店営業許可の代行申請や食品衛生責任者の配置をする業者もあります。
さいごに
今回ご紹介した施設様の事例を見ても、魅力的に感じられる朝食というのは、単純な「品数の多さ」や「豪華さ」だけでは無いことが分かります。メニューは変えずとも、別のアプローチ方法で朝食に「意味」を持たせ価値づくりをする方法があります。朝食にコンセプトを持たせることはその最たる手段といえ、コンセプトが魅力的な朝食はよりたくさんの人を惹きつけ、楽しませ、あたなの施設が選ばれる理由となるかもしれません。
朝食のコンセプトづくりは弊社でもお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。
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