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ホテル・旅館が行うシニア層集客に効果的なマーケティング戦略│高齢者マーケットの実態と集客ポイント
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ホテル・旅館が行うシニア層集客に効果的なマーケティング戦略│高齢者マーケットの実態と集客ポイント

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2023. 03. 07

最終更新 2024. 07. 01

ホテル・旅館が行うシニア層集客に効果的なマーケティング戦略│高齢者マーケットの実態と集客ポイントのキービジュアル

目次

    この記事では、現在のシニアの消費傾向や情報収集方法、宿泊施設の高齢者マーケットを意識した集客のポイントなどを、事例を踏まえてわかりやすくご紹介します。
    2022年に生まれた子どもの数が、初めて80万人を割り、過去最低となりました。

    昨今の少子化が進むにつれて自然と高齢者の割合は増えていきます。
    「高齢者(シニア層)」を取り込めるかどうかは様々な事業にとって重要な要素となることでしょう。

    「国内旅行のメイン顧客」「時間的にも資金的にも余裕がある世代」「ネットには疎い」・・・これまでイメージされていたシニア像は本当に正しいのでしょうか。旅行需要を支えるシニアとは一体どんな人たちなのでしょうか。

    今回は、大きなマーケットとなるシニア層に焦点を当て、現在の消費傾向や情報収集方法からその多面性や、集客における具体的なポイントをご紹介していきます。

    シニアマーケットの概要

    2025年には3人に1人が65歳以上

    内閣府が公表している『高齢化の推移と将来推計』によると、2025年には、日本の総人口の30.3%が65歳以上になることが予測されています。過去の記事でも取り上げた2025年問題(過去記事)がこれにあたります。総人口は減少していきますが、65歳以上の割合は反比例的に増加していくため、2025年には3人に1人が65歳以上となる見通しが出ています。さらに、2060年には65歳以上の方の割合は40%近くにまで増えると予測されています。
    出典:高齢化の推移と将来推計(内閣府)

     

    市場規模は、100兆円超え

    みずほ銀行産業調査部の資料によると、高齢者の人口増加がきっかけで、マーケットの市場規模は101.3兆円にまで増加すると予測されています。
    内訳は、医療・医薬産業が35兆円、介護産業が15.2兆円、そして生活産業が51.1兆円。

    ここでの生活産業とは、食料・家具・事家・被服・教育・娯楽・交通・通信などのことを指します。
    生活産業の規模が大きくなると、小売や広告などにも間接的に影響を与えることにもなるため、多くの産業に関わってくるといえます。

     

    高齢者向け市場の将来推計

    出典:みずほコーポレート銀行産業調査部作成 「高齢者向け市場の将来推計

    シニア層の多様化

    10年前より10歳も若い現代のシニア

    国民的人気アニメの「サザエさん」に出てくる波平さんは54歳、フネさんは52歳(アニメ版)だということをご存じでしょうか。アニメ放送当初は年相応の見た目として描かれていたはずなので、思っていたよりも年齢が若いと感じた方が多ければ、変わったのは我々のシニアに対する印象の方だといえます。

    実際、日本老年学会の発表によると「10年前のシニアと比べて現代のシニアは身体能力や知能などが10歳若い」といわれています。 一般的にシニアとは65歳以上~の年代を指しますが、シニアと一口に言ってもイメージする像は人によって様々です。

    最近では、年齢にこだわらず趣味や仕事に意欲的で、健康志向が高く、元気で活動的な60歳以上の中高年「アクティブシニア」が増えてきています。その背景として、生活形式、行動様式、社会との関わり方などの様々な変化があげられます。

    アクティブシニアの中でもさらに50代と60代以上という10年の差で、生活事情は大きく異なってくるといわれています。(参考:じゃらんリサーチセンター「じゃらん宿泊旅行調査」)

    50代は役職定年による収入減や子供の進学費用などの「家計の制約」や、まだ定職に就き働いている人の「時間の制約」が多い傾向にあります。
    一方、60代以降になると、人によっては親の介護がはじまり、自分の健康維持が難しくなってきたりなど、「介護 」と「自分の健康」による制約が出てくることが多いのです。
    更に、この世代はペット市場(過去記事)との関係性も強く、子育てに手がかからなくなった時期や自分が現役を引退した時期からペットを飼い始める人が増えています。
    そのため、60代以降から、今まで飼ってきたペットの介護や、飼い始めたペットのお世話をするために遠出しにくくなる傾向も出てきます。

    このように、60歳を過ぎても現役で働く人も多く、健康的で社会活動も活発な人が増えている中で、「シニア層はこうだ」と一括りに捉えていくことは非常に難しくなっています。

    シニアの消費行動と情報収集

    次にシニア世代の消費行動や情報の収集方法について、
    調査データを踏まえながらいくつか特徴をご紹介していきます。

    60代は平日利用率が高い

    宿泊時期については、夏休みや年末年始などの繁忙期での利用が50代以降から減少し、春や秋などの気候のよい季節の利用が増える傾向にあります。
    特に、60歳以上になると、会社や子供の学校行事に予定を合わせる必要がなくなるので、平日利用率が上がりやすい傾向にあります。

     

    https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2019/06/32afc808309afa148f6d8f513a0d58de.pdf

    ソニー生命が発表した調査結果によると、1年間で孫のために出した出費の平均額は104,682円にものぼることがわかりました(2021年)。少子化が進み、一人あたりの子供にかける時間や金額も増えていると考えられます。

    2021年 孫に使った金額

    出典:シニアの生活意識調査2021(ソニー生命) (n=孫がいるシニア283名)

    さらに、新型コロナウイルスが収束した後、孫としたいことでは、1位が外食、2位に旅行がランクインしていることがわかります。

     

    Q.新型コロナウイルスが収束したら、孫とどのようなことをしたいと思うか?

    出典:シニアの生活意識調査2021(ソニー生命) (n=孫がいるシニア313名)

    趣味に対してはポジティブ

    定年退職後に時間のあるシニアの方は自分の趣味に時間とお金をかけることも多いといえます。
    総務省統計局が行った調査で、旅行費・園芸用品・習い事の費用は年齢と共に増加する傾向があることがわかっています。

     

    旅行の目的としても、おいしい食事を食べるや、自然体験、芸術や史跡鑑賞といった趣味の延長を求める傾向があり、旅行先での知的好奇心も高いことが伺えます。

    • 宿でのんびり過ごす
    • 温泉や露天風呂
    • その土地の美味しい食事(少量で美味しいが好ましい)
    • 自然・芸術・史跡鑑賞
    • 〇〇狩りなどの自然体験
    • 街歩き/散策
    • 友人や親せきを訪ねる

    スマホ活用は9割、よく使うアプリ1位は「LINE」

    株式会社ゆこゆこの「シニアの旅行意欲とスマホ利用実態」に関する調査によると、
    シニアのスマホ利用率は9割を越えていることがわかりました。

    スマホを所持しており、「宿のオンライン予約ができる」と回答したシニアは全体の78.9%という結果に。

     

    株式会社ゆこゆこ「 シニアの旅行意欲とスマホ利用実態調査

     

    また「宿のオンライン決済ができる」と回答したシニアは全体の61.1%で、年代別に比較すると年齢が上がるごとにより複雑な操作を要する決済ができる方が減ることも明らかになりました。

    さらに、株式会社ADKマーケティングの調査結果によると、男女60歳以上のシニア層の中でも利用率の高いアプリ1位は「LINE」が79%で最も利用率が高く、続いてグーグル66.2%、ヤフー66%となりました。一方、Facebook、Instagram、Twitter、TikTokなどのSNS利用率は、いずれも2割に届かない結果となり、ネットリテラシーが上がったとはいえ、SNSで情報を収集することに対しては積極的ではないことがわかります。

     

    株式会社ADKマーケティングの調査「シニアのデジタル白書2022

    シニア層集客のポイント

    シニア層を集客していくためには、「シニア」のなかでも、どのようなライフスタイルの方に向けて訴求すべきかを決めていく必要があります。

    そのことを念頭に置きながら、どういった集客のポイントがあるのか、整理してみましょう。

    50代・60代の「シニア扱い」は禁物

    シニアの中でも特にアクティブシニアと呼ばれる50代~60代の層は「身体や体力は衰えてきているが、まだ年寄りではない!」、「シニアと呼ばれたくない!」という反発を生むことがあるようです。
    分かりやすいと思って強調した「シニア発信」がマイナスに働く場面も多々あります。

    足腰が弱くなった方へのエレベーター迄の距離や段差改善、送迎といったサポートや、心理的なユニバーサルツーリズムの配慮はしっかりしつつ、「シニアのため」といった直接的な発信ではなく、リスペクトした言い方に置き換えていくことも大切になってきているようです。
    最近では、若々しくポジティブな印象を与える「プレミアエイジ」や「グランド・ジェネレーション」という言葉もでてきており、「グラジェネ」「G.G」「グラン世代」などと略されることもあります。

    例えば、イオングループでは、55歳から使えるお得なイオンカードを「GGカード」と称し発行しています。
    このような傾向から、自分をシニアだと思っていない人たちへ「シニアプラン」をダイレクトに打ち出しても、暖簾に腕押しになっている可能性もあり得ます。

    70代以上は適度なコミュニケーションも好印象

    シニア層の中でも、2023年時点で70歳代に当たる「団塊の世代」は、地域の人や旅行者同士で交流を持つことに積極的だというデータもあります。(参考:株式会社JTB総合研究所

    流行などに流されず長年親しんできたものや自身の信頼できるものを好む世代なので、その土地の歴史、風土、食文化の紹介を交えたコミュニケーションはきっと満足度が高まることでしょう。適度なコミュニケーションを取り信頼関係を気づいていくことは、リピーターにつながるともいえます。

    また、人からの口コミで情報を収集することも多く、団塊の世代に当たるシニア層の宿泊満足度を上げることは、上質な口コミ拡散につながる可能性も秘めています。

    シニアを親に持つ子供世代へのアプローチ

    ご自身は積極的に旅行に出かけるタイプではなくても、家族が同伴する形で旅行に訪れるシーンも多いでしょう。
    孫や子供への出費が多くなる消費傾向からみても、2世代、3世代の旅行のニーズは今後も一定数ありそうです。中でも、子供や孫が経験する初めての行事、お祝い事は購買の動機となり、ついつい財布の紐が緩むものです。このようなお祝いシーンに絡めた企画はシニア集客のポイントにもなり得ます。

    株式会社JTBが行った「シニアの旅行に関する調査」では、一緒に旅行に行きたい人としてパートナーの次に孫が多く、孫と旅行に行った人のほぼ全員(95.4%)が「また行きたい」と回答しています。

    例えば、三世代で旅行に行くシニアの獲得には、お孫さんが楽しめるかどうかや、お祝い事にスポットをあてたプラン展開、または親孝行をテーマにしたプラン展開を行い、「比較検討するのは誰か?」「支払うのは誰か?」を定めたうえで販促を行う必要がありそうです。

    地元メディアやリアルエージェントでの露出も

    シニア層のネットの利用率は増加していますが、まだまだ「利便性より見やすくて簡単な媒体を好む」傾向にあります。

    特に、体力的な問題から近隣の県での日帰り旅行や近場の宿泊も多くなります。
    そうなると周辺地域の情報誌の掲載や旅行雑誌からの情報収集をし、ネットでも調べるといった流れも多く、接点を生むためには、Webよりマスメディア(新聞・雑誌・テレビ等)媒体を主に活用することも大切です。
    更に、ツアーを組んでくれる旅行代理店の活用もまだまだ根強く、追い風になりやすいといえます。
    OTAでは、「ゆこゆこネット」がシニア層に特化した予約サイトとして有名です。

    SNSの使用率は低いシニア層も、LINEは普段の家族や友人との連絡手段として頻繁に使うことが多く、LINEでの広告運用や友達追加などで、リピート促進につなげることもできるかもしれません。

    さいごに

    旅行業界にも影響力が大きいシニア市場。

    この先ますますマーケットの中心になり得る反面、シニアの具体的な定義は曖昧で、シニアの旅行はこうだと決定付けることは非常に難しいとも言えます。

    ひとつだけ明らかになっていることがあるとすれば、これまでのようにシニア層を「シニア」というジャンルで括り訴求する方法は、少し時代遅れになってきているということでしょうか。

    アプローチの視点を変え、シニア層の活動動機となっている健康、趣味、行事、習慣などを切り口として、シニアの中でもどのシニアを狙うのかを明確にしていくことが、今後の集客のカギとなってくるでしょう。

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