
初心者でも簡単にできる!ホテル・旅館のGoogle広告のパフォーマンスを最大化する有効な手段「P-MAX」を解説
2025. 02. 27
最終更新 2025. 02. 27

本稿は、予約サイト以外での認知獲得の機会を模索している宿泊施設様に、Google広告のおすすめ機能をご紹介します。
Google広告は広告掲載ができる場所を幅広く持っていることはご存じでしょうか。Google検索やYouTube、Googleマップなど、様々な掲載場所を持っているためユーザーと宿泊施設の接点が多くもてる環境にあります。ですが、どの場所に広告を掲載すれば効果的に広告を運用できるのか悩みますよね。
そんなときに、最新のAI技術で自動で適切な場所に効果的な広告を掲載してくれるそんな便利な仕組みがあれば、試してみたくなりませんか?なんと!AIによる広告配信がGoogleにあるんです!その名もP-MAX。目標に対して、予算を決めるとそれに応じてAIが自動で学習をし、最適な場所と人へ広告を掲載してくれるのです。
最大の特長は、広告運用の知識がなくても効果的な運用ができることです。
そんなP-MAXについて、Google広告について詳しく分からない方でも理解できるようにひとつひとつ解説していきます。
目次
P-MAXとは、どんな広告?
P-MAXとは、2021年に導入されたGoogle広告の種類のひとつで、Googleの持つあらゆる広告媒体の中から事業者が設定した目標達成に最適な広告先をAIが自動で配信してくれるものです。P-MAXは「Performance MAX」の略で、その名の通り効果の最大化を行う広告です。
上図のように、通常のリスティング広告やディスプレイ広告などの広告は、広告の種類と配信先は固定されています。しかしP-MAXは、Googleがもつあらゆる媒体へ配信することが可能になります。
目標に対して、GoogleのAIが自動で広告配信を最適化するため細かい配信設定や調整が必要ありません。AIが学習しながら最適化を図るため、効果的な広告運用や認知拡大、成果数の増加など広告効果の最大化が期待できます。
また配信先ユーザーの設定として、年齢や性別、地域、ユーザーの興味関心があるものやライフスタイル(旅行好き、スポーツファン、映画ファンなど)の設定ができます。
設定をするのに最低限必要なのは、下記の4つのみとなります。
●目標(CPA/ROAS)
● 地域と言語
● 広告スケジュール
● 1日の予算と入札単価
そしてP-MAXにはいくつか種類があり、旅行業に特化した「P-MAX for Travel Goals」があります。
P-MAX for Travel Goalsは、宿泊施設への直接予約を増やすことを目的にしており、興味の高いユーザーがよく見る場所へ広告を届けるよう最適化された機能を提供しています。
このようにAIが自動で配信を制御してくれるため、広告に詳しくない方でも簡単にはじめられます。また目標と予算を定めて、その中で運用してくれるため大幅に予算を超えることもなく安心して広告をはじめることができます。広告の運用のやり方はよく分からないけど予算を効率よく使いたい方には、選択肢として1つ考えていい広告です。
P-MAXはこんなホテル・旅館におすすめ
広告運用の手間や工数を減らしたい
GoogleのAIが自動的に広告配信を最適化するため、広告運用にかかる手間を大幅に削減できます。
《こんな場合ありませんか?》
・広告運用の知識や経験が少ない
・複数のキャンペーンを管理する時間がない
・少人数で広告運用を行っている
幅広い層にアプローチしたい
Googleの全てのチャネルに広告を配信できるため、潜在顧客層を含む幅広い層にアプローチできます。
《こんな場合ありませんか?》
・新しい顧客層を開拓したい
・ブランド認知度を高めたい
・特定のチャネルにこだわらず幅広く広告を配信したい
費用対効果を高めたい
GoogleのAIが学習して最適なターゲットに広告配信を行うため、費用対効果の高い広告運用が可能です。
《こんな場合ありませんか?》
・限られた予算で最大限の効果を得たい
P-MAXを使う前に押さえておくポイント
AIがデータを取得するための期間が必要
AIがデータを取得するために、Google広告は「少なくとも4~6週間のテスト期間を確保してください」と記載されています。宿泊施設へ予約されたデータや興味を持っている人や属性などのデータが取得できると最適に広告配信が行えるようになります。データが取得できるまでの間は長い目で運用していく必要があります。Google広告で他の広告をすでに行っている場合はそれらで得られたデータはP-MAXでも活かされるため、既に広告を配信されている方はテスト期間が短くなるといえるでしょう。
広告配信に必要な素材を用意する
広告配信の際に表示されるものは、広告の媒体によって形式が異なります。Google検索であればテキスト、ディスプレイであれば画像、YouTubeであれば動画など様々なコンテンツが必要となります。コンテンツの質が悪ければ、いくら興味のあるユーザーに広告を配信されても、クリックされずに終わってしまう可能性があります。反対に、質の高いコンテンツが用意できれば、広告効果を高めることができます。そのため、広告に使用される画像や動画、テキストを十分に用意しておくことが重要となります。
AIがWebサイトの情報を取得し、自動で広告用のコンテンツを生成することも可能です。Google Hotel Centerと連携をすれば、登録されたホテル情報や写真などから情報を取得することができるため、より詳細で正しいデータになります。静止画を組み合わせて動画を自動生成できるため、動画制作の手間をかけずに広告配信を開始できます。生成されたものについては、自施設に合ったものになっているのかを確認をしていただくことを推奨します。
また配信したくない広告媒体を配信先から除外する設定も可能なため、例えば動画の素材がない場合はYouTubeを配信先から除外することも可能です。自施設の用意できる素材に合わせて配信設定を行うことで、より高い効果が期待できます。
P-MAX for Travel Goalsの出稿手順
■ P-MAX for Travel Goalsを作成する前に
P-MAX for Travel Goalsを作成するまえに、推奨されていることが2つあります。これらを準備すると成果が測りやすくなったり、広告側がデータを取得しやすくなるため推奨されています。
✓ Hotel Center と Google 広告を連携する
✓ 自社予約ASPを連携させる
■ 出稿手順
P-MAX for Travel Goalsを出稿するときには、決められた設定を行う必要があります。そのポイントを押さえて簡単に説明していきます。
P-MAXとP-MAX for Travel Goalsでは、設定が異なりますのでご注意ください。
- Google広告のアカウントにログインし「新しいキャンペーンを作成」
- キャンペーン目標として「販売促進」を選択
- キャンペーンタイプとして「P-MAX」を選択
※「広告で宣伝するものは何ですか?」という問いには[ホテル] を選択 - コンバージョン目標は「購入」を設定
※他の目標に設定することも可能だが推奨は購入のみ
※来店目標は対応不可 - 宿泊施設の設定
- キャンペーン名、予算、入札単価を設定
- 掲載する画像などの素材(アセットグループ)を作成
- 設定を確認して、広告配信を開始
P-MAXに向いていない宿泊施設は?
データ分析や配信調整をしたい
AIが自動で調整を行うため、広告の戦略が読み解きにくいというデメリットがあります。また、レポートのデータ開示もリスティング広告などの個々の広告と比較すると詳細なデータの取得ができず、データ分析が難しいとされています。そのため明確なターゲットへアプローチしたい場合や、データを分析して適切に改善したい場合、配信先のコンテンツを管理したい場合には適していません。
短期間の配信で効果を出したい
前途でも記述をした通り、AIが学習する期間を4~6週間程度日数を設ける必要があるため短期間で広告の成果を求める場面には向いていないでしょう。
効果の高い配信先をすでに把握している
すでに広告運用をしており、効果が出ている広告の配信先がわかっている場合は、広告費用が分散してしまうため必要ないでしょう。特定の配信先に集中して広告を配信したい場合には、P-MAXではなく配信先に応じた広告の種類を選択することを推奨します。
このように、P-MAXはAIによる自動最適化を特長とするため、詳細なデータ分析や手動での配信調整を重視する宿泊施設には不向きかもしれません。
ホテル・旅館がP-MAXを運用するポイント
AIが自動的に効果を上げてくれるとはいえ、パフォーマンスを上げるための手助けをするとさらに効果的に運用ができます
■ 他の広告との併用
Googleは「P-MAX はキーワードベースの広告を補完するもの」だと位置づけており、他の広告とP-MAXを併用することでお互いを補完し、より効果的な広告戦略を実現できると説明しています。
例えばリスティング広告ではすでに興味関心がある顕在層へ、P-MAXでは旅行に関して興味関心はあっても、まだ意欲は高くないような潜在層へアプローチをするイメージです。広告を併用することで、認知の拡大、広告に使用する画像やテキストの使い分け、自動化と手動設定の組み合わせ、データ分析など様々なメリットがあります。それぞれの強みを活かし、組み合わせることでパフォーマンスを上げることができます。
■ レポートデータの活用
レポート内容が大枠を捉えたデータになるため、取得できるデータは限られていますが改善をしていくことでさらなるパフォーマンスの向上を目指せます。下記がレポートからできるデータの一部です。
・掲載された検索キーワードのカテゴリグループ※
・広告掲載されたWEBサイト
・曜日別×時間別の成果
・デバイス別の成果
・画像、動画や広告見出しなど、コンテンツの成果
※一語のキーワードではなく、カテゴリー毎に分けられたデータ
これらのデータを使用して、例えば検索カテゴリデータをみてキーワードの追加や除外を設定をしたり、コンテンツの成果による削除や変更、広告の配信先となるユーザーに関する情報の登録を行うなどをして、AIの学習をサポートできるため最適化を進められます。
つまり、P-MAXはAIによる自動最適化が強みですが、他の広告との連携やレポートデータの分析を通じて、より効果的な運用が可能です。
さいごに
ここまでP-MAX for Travel Goalsについて、概要から運用のポイントや、デメリットについて解説しました。細かい設定や調整の必要がないため、広告運用の知識や経験が少ない方でも運用にかかる時間や手間を削減できるメリットがあります。P-MAXは、幅広い層にアプローチできる強力な広告ですが、詳細なターゲティングや広告表示のコントロールなど一部の機能は制限されています。もし、自施設のニーズに合わない場合は、他の広告キャンペーンとの併用や、P-MAX以外の広告戦略を検討する必要があります。
P-MAXやその他広告を始める前に、具体的な目標の設定、予算の確保、ターゲット層の明確化をし、どの広告が自施設に適しているのかを検討するようにしましょう。