ホテル・旅館のWEB担当者が知っておくべきノウハウ! Webの売り上げを作る基本的な仕組みを知ろう
2023. 04. 04
最終更新 2024. 08. 26
目次
近年、宿泊施設の売上構成において重要度が増し続けているWEB販路。
自社ホームページ、予約サイト(OTA)、SNS運用まで、WEB販売担当者が担う業務は拡大しています。
効率的にWEB集客の施策を打つためにWEB販売担当者は、WEB上でのユーザーの行動プロセスや、WEB集客の売上構成を理解しておく必要があります。この2点を知らずに施策を打つと成果が上がりにくかったり、成果に結びつかないことが往々にしてあります。そこで今回は、新しくホテル・旅館のWEB担当者になった方へ、WEB販売に必要な最低限の知識である「ユーザーの行動プロセス」と「WEB集客の売上構成」を事例を交えながら簡単にご紹介します。
予約売上と宿泊売上の違いを知っておこう
まず、大前提として宿泊業界では2種類の「売上」が存在します。
主にWEB集客での効果測定の指標となる「予約売上」とWEB上の宿泊最終実績である「宿泊売上」の2つです。
例)4月予約売上=4月1日~30日に成立した予約総額のこと(キャンセル分を含む)
例)4月宿泊売上=4月1日~30日に宿泊した分の総額のこと(キャンセル分を除く)
今回は「予約売上」のお話を中心にしていきます。
WEB集客(予約サイト)のユーザーの動きを理解しよう
WEB担当者はWEB上(予約サイト)でユーザーがどういった行動を踏んでいるのか、理解しておく必要があります。なぜならば、ユーザーの行動プロセスが理解できていないと正しい課題の特定や、そのあとの施策で狙った効果が得られないことがあるからです。
この「ユーザーの行動」を理解するのに分かりやすい便利な図式があります。それは「パーチェスファネル」と呼ばれるものです。パーチェスファネルとは、マーケティングの考え方の一種であり、消費者が商品を購入するまでの行動を図式化したものです。例えば、予約サイト上での検索~予約~宿泊までのユーザー行動は以下のように表されます。
このように、「検索⇒アクセス⇒検討⇒予約⇒宿泊」に至るまでの過程で、ユーザー数がどんどん絞り込まれていく様子も分かります。WEB担当者は自施設における各過程に関係する数字や率を認識しておくことが望ましいです。
具体的にどこにどのような数字や率が関係してくるのかは、この後の用語説明でご紹介します。
予約売上に関係する要素を知ろう
1)売上に関係する要素
まず、売上がどのような要素に分解できるのか。以下は最も簡単に売り上げの要素を表したものです。
※今回は購入頻度は省きます。
売上は「数」×「単価」で成り立っているといえます。
宿泊業で落とし込むと、数は予約件数のこと、単価は予約単価のことを指します。さらに、予約数は、WEBページへのアクセス数と予約転換率が影響し 予約単価は1人当たりの単価(客単価)と1予約当たりの人数(グループサイズ)が影響します。 この構造をロジックツリーにするとこのようになります。
以上を踏まえた上で、最初の式を宿泊施設に置き換えてさらに分解すると、このような式になります。
各項目の数字を把握し計測しよう
予約売上を構成する要素を理解するために、予約件数と予約単価に関わる用語の説明と数字の見方をご紹介していきます。
WEB担当者はこれらの数字を把握し、記録しておくことで、予約売上を上げる為にはどこに課題があるのかが明確になり、効果的な対策を行うことが可能になります。
以下の数や率はOTAの場合、管理画面で確認することができ、自社HPであればGoogleアナリティクスで一部確認することができます。今回は一番見やすい楽天トラベルの宿泊施設カルテを参考にご説明していきます。
▼予約件数に関わる項目
楽天トラベル宿泊施設カルテ>月次予約・宿泊実績
①アクセス数
アクセス数とは、自社のOTAページへの訪問数のことを指します。
これはどのくらいのユーザーに興味をもってもえたかを知る指標になります。
この数字の推移を記録しておくと、毎年この時期はアクセスが高くなる!などのアクセス傾向が分かったり、〇〇特集の参画は効果があったのか?等がわかるようになってきます。
②PV数(ページビュー数)
自社のサイトページを何回見られたかを表した数字です。
この数は「興味関心度」を表していて、このページビュー数が高ければ高いほどユーザーは興味関心を持って情報を収集してくれているという指標になります。
※このPV数は予約サイトによりカウント方法が異なるのでご注意ください。
▼PV数(ページビュー数)とアクセス数の違い
<アクセス数>
サイト訪問数 ⇒ 1人が3ページ見ても1アクセス
※ユニークアクセス数ではないので、1度プラウザを離れると同じ人でも1アクセスとカウントされます
<PV数>
ページ表示回数 ⇒ 1人が3ページ分見たら3PV
※OTAによって、PVのカウント方法が違う場合があります。
③予約転換率
予約転換率は、コンバージョンレート(CVR)とも言われ、ページにアクセスされた数に対して、予約完了に至った件数の割合のことを指します。
ユーザーの消費行動で言うと、自社の施設ページへアクセスしてから予約に至るまでの、情報収集や比較検討段階で起こることが、転換率に影響するといえます。
▼予約転換率を出すには
<予約転換率=予約件数÷アクセス数×100>
※サイトによって予約件数が予約人数になることもあります
予約転換率(CVR)の数値は劇的に変化することが少なく、コツコツ対策が必要になります。何かの影響でアクセス数が一気に上がり、必然的に予約転換率が下がることは仕方がないことですが、アクセス数にそこまで変化がないのに、予約数が減っている場合は注意が必要です。せっかくユーザーがページに来てくれたのに、何らかの原因(例えばクチコミが下がった等)で離脱されてしまっている、転換率が落ちた状態を表すので、要因を突き止めて改善していく必要があります。
┃予約単価に関わる項目
④予約単価
1予約あたりの平均予約金額のことで、客単価 × 予約人数で計算することが可能です。
例えば、予約件数は増えているのに、予約売上が伸び悩んでいる場合はこの予約単価に原因があると考えることができます。値下げをしすぎていないか?グループサイズが少なくなっていないか?安いプランばかり売れているのか?などをみていく指標にもなります。
┃客単価と室単価
⑤ 室単価
1室あたりの平均宿泊料金のこと。
⑥ 客単価
1人あたりの平均宿泊料金 のことを指します。
公式とロジックツリーの活用事例
▼集客課題を整理する
今回お伝えしたロジックツリーや公式を基準にして考えると、予約売上を上げる為の課題項目が明確になっているので対策を考える際や効果を検証する際の軸がブレにくくなります。
例えば、予約件数が少ないという課題があるならば、このロジックツリーの通り「アクセス数」か「転換率」に課題があると仮説立て出来ます。
もしその中でも「アクセス数」を上げる必要がある場合は、検索する人たちをページにアクセスさせるためには何をしたらいいのか?具体的な対策へ落としこんで考えていくことができます。
▼対策を考える基準にする
【課題】予約件数を上げたい
【仮説】アクセス数を上げたらどうか
【施策】アクセス数を上げる為に特集参画を行って露出を高めよう
また、今やっている対策の目的が何のためなのかを理解しておけば、何処の結果を測定すればいいのかも明確になります。
▼効果を見る基準にする
【施策】アクセス数を上げる為に特集参画で露出を高めた
【効果】アクセス数が上がった
【結果】予約件数は増えなかった
今回の例でいうと、アクセス数を上げるという目的は達成でき効果はあったが、予約件数は増えなかったので別の要因をみつけてまた対策をとる必要があることも分かってきます。
さいごに
WEBの売上目標に対して、それを達成するために何から手を付けていくのが一番良いのか?
その計画や仮設段階で活躍するのが、今回の公式やロジックツリーです。
迷ったら常にここに立ち返って整理することで、本質的な課題を特定することができ、やるべき対策が見えてきます。
さらに、対策の効果があったのかを検証する際も非常にわかりやすくなります。
4月から、WEB担当者として新たに業務を行う方も多くなるのではないでしょうか。
ぜひ、WEB集客の活動計画を立てる際に、活用してみてください。
アクセスを上げる為に何をしたらいいの?予約単価の上げ方は値上げ以外で何があるの?
自社は何処から改善すべき?などの具体的な対策のご相談もお気軽にご連絡ください。
~お知らせ~
今回お伝えした話は、基本中の基本です。実際の対策は多岐に渡ります。
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