自社HPの直接予約が増えない理由とは?ホテル・旅館のホームページ集客における問題点と対策まとめ
2023. 05. 30
最終更新 2024. 08. 26
目次
ホテルや旅館のオンライン予約が普及している中、自社のホームページからの直接予約がなかなか増えないという課題に直面している施設様は多いのではないでしょうか。
「OTA依存とも呼ばれるWEB集客の状態を打破する為にはどうしたらいいのか」
本記事では、自社HPの直接予約が増えない主な要因と、それに対する解決策について考察していきます。また、直接予約を促進するためには、どのようなアプローチが必要なのか、具体的な対策についても紹介します。
日本の宿泊施設における自社HP予約の現状
まず、日本の宿泊施設の予約経路の現状から見ていきます。
令和4年に日本旅館協会が発表した「営業状況等統計調査」によると、年間宿泊人員に占める予約経路別の比率は「旅行会社(リアルエージェント)」経由が22.5%「ネット業者(OTA)」経由が45.3%「自社HP」が14.9%「直接その他」は、17.2%という結果となりました。
半数以上がネット予約という現状の中で、自社HP経由での予約はOTAに比べると低く、この先も宿泊施設のWEB集客における課題点であるといえます。
引用:日本旅館協会「営業状況等統計調査」データを元に宿研にて作成
ホームページで集客できない問題点は大きく分けて2つ
自社HPでの集客がOTAに劣る原因や問題点とは一体何でしょうか。
以前「WEBの売上を作る基本的な仕組み」についての記事でもお伝えしましたが、大前提としてWEB上での予約数は、アクセス数と転換率(CVR)で成り立っています。これは、OTAに限らず自社HPでも同じことが言えます。
関連:Webの売り上げを作る基本的な仕組み より
※アクセス数・・・ページへの訪問数
※転換率(CVR)・・・・ページにアクセスされた数に対して、予約完了に至った件数の割合
そのため、ホームページからの予約が増えにくい場合は、この2つのどちらか、あるいは両方に問題があると考えられます。
原因1:アクセス数が少ない
どんなに素敵なデザイン・コンテンツの自社HPを作っても、宿を認知してHPまでアクセスしてもらえなければ意味がありません。HPへのアクセス数が少ない大きな原因は2つあります。
① そもそもユーザーに宿を「認知」されていない
②宿は「認知」はされているが、自社HPまでアクセスしてもらえていない
①の場合、まずは認知される機会を多くするための販路拡大に力を注ぎ接点機会を増やす必要があります。この時、自社HP自体をなんとか認知させようと考えてしまいますが、ユーザーが宿を知る「きっかけ」はHPに限った話ではありません。
自社のHPよりも認知度の高いOTAや拡散性の高いSNS、ローカル検索に強いGoogleビジネスプロフィール等の様々な集客ツールを上手に活用して、とにかく宿を知ってもらう必要があります。最終的にHPリンクを踏んだり、宿名検索でHPを閲覧してもらう為の経路作りに注力することが最優先だといえます。
②の場合は、宿自体は認知されているのに、HPまで訪問してもらえていないケースです。これは主な流入元となる、OTAで閲覧された時の興味関心度が低かったり、Googleビジネスプロフィール(GoogleMap検索)の写真やクチコミが魅力的でないなどの理由から、HPで詳しく知りたいという感情にまで至っていない可能性が考えられます。そのため、流入元の集客ツールでの掲載順位や写真、キャッチコピー、クチコミの改善等にも力を注ぐ必要があります。
原因2:予約転換率が低いケース
一方、予約転換率は自社HPへのアクセス数と最終的に予約に至った予約件数の比率です。この予約転換率には情報収集や比較検討段階で起こる様々なことが影響しています。予約転換率が上がらない理由には2つのポイントがあります。
① 予約の意志が固まる前に何らかの原因で離脱されている
② 予約段階で、HPでの予約を選択してもらえていない
①の場合は、比較検討をされている他の宿に勝つことが出来ずに離脱されるケースが考えられます。その為、自社HPでも魅力的な内容で有益かつ、独自性の高い情報が提示できているかが重要になります。
そして、②の場合は、予約意欲は固まっているのに、予約手段でOTAを選択されてしまうケースです。これを防ぐには、自社HPで予約するメリットが「予約サイト(OTA)」よりも上回っている必要があります。
自社HPでの課題を見つける方法
前段の通り、自社HP集客の課題はこの「アクセス数」と「予約転換率」に集約されます。しかし、自社HPの状況を分かっていない状態では、どちらに課題があるのか、そしてどれほど改善するべきかの計画が立てにくいでしょう。
そこでおすすめしたい方法が、自社HPの状況を知るための便利な無料ツール「Googleアナリティクス(現:GA4)」や「Googleサーチコンソール」の活用です。これらは自社HPのアクセスデータを詳細に確認でき、ページの傾向やユーザーの行動を知り分析することができます。
例えば、「自社HPへのアクセス数はどれくらいで、このところの推移はどうか」などのアクセス数を知ることができます。また、「アクセスしたあと、どのページが最も長い時間見られているのか」、「自社HPへアクセスした人のうち、宿泊プラン一覧までたどり着いている人はどれくらいなのか」など、最終的に予約された数を計ることで自社HPにおける予約転換率(CVR)を知ることができます。
その他、設定次第でSNSからの流入数、Google広告の効果も計測することができます。
✓流入経路ごとのアクセス数(SNSはどれくらい、自然検索はどれくらいなど)
✓アクセス後のユーザーの行動
✓ページが閲覧された回数、離脱ページの多いページ
✓各ページの滞在時間
✓設定したコンバーションページに到達した回数 etc…..
ホテル・旅館業界の平均転換率(CVR)は2%前後といわれていますが、HOTEL BENCHMARKが調査した、ホテルサイトの平均転換率の一例を見ると以下のような平均になります。
- 大手チェーンホテル:1.9%
- 中小規模の独立系ホテル:0.73%
ただし、上記の数字はあくまでも目安に過ぎません。客室数やエリアによっても予約転換率もアクセス数も大きく変わります。
平均値はあくまでも目安で比較はせず、過去と現在の自施設のアクセス数や予約転換率の推移をみながら改善することに力を注ぐ方法が望ましいです。
自社HPの予約を増やすための具体的な対策とは
では、自社HPの予約を増やすためには一体どんな対策を取っていけばよいでしょうか。
具体的な対策例をご紹介します。
1.自社HPへのアクセス数を増やす
OTA対策
自社のHPに訪問しているユーザーのうち、自社の存在を知ったきっかけが、OTAであることは非常に多いものです。HPのアクセス数を増やす上でOTAでの認知率向上は必須の対策といえます。
OTA集客力の高さは、OTAから自社HPへの流入割合の高さと関係しているといえます。
SNS対策
流入経路の一つとして、近年注目を集めているのはSNSです。
SNSはその拡散力の高さ、視覚的訴求力、話題性などでHPへの流入を増やすツールとして活用できます。
OTAとの大きな違いは、SNS内部に自社HPのリンクを張ることが出来るのでよりHPへの誘導がしやすい仕組みになっている点です。また、広告運用費が安さや、効率の高さ、若い世代の獲得という視点でも非常に効果のある対策と言えます。
SEO/MEO対策
SEO対策は、自社HPをWEB検索結果で上位に、MEO対策は、GoogleMap検索で上位に表示させるための取り組みです。ユーザーがWEB上で自社に関連するキーワード検索を行った際に、自社のHPが上位に表示され、ページへアクセスしてもらえるように対策を行っていきます。
特にホテル・旅館では指名検索が多い傾向にありますが、観光地名やエリア名の検索からの流入の場合もあります。「エリア名+宿泊施設」や「周辺観光名所+宿泊」「観光地+ホテル+条件」等の検索時に自社HPが検索結果の上位に表示される対策が重要になります。
また、GoogleMap検索でホテルと検索した際に、上位に表示されるかどうか等、エリア名や地名、条件、観光名所等に絡めたローカル検索の対策も宿泊施設のような店舗経営には重要になってきます。
Google広告の活用
予算をかけて行う対策として、Googleホテル広告やGoogleリスティング広告も挙げられます。
Googleホテル広告は、Googleの検索ユーザーが「ホテル名」や「地域名+ホテル」と検索したときに、Googleビジネスプロフィールが上位に表示される広告です。
リスティング広告はGoogleやYahoo!など、検索エンジンの検索結果ページに表示される広告です。1クリック毎に広告費が発生する課金型で、表示させたい検索キーワード毎に1クリックの単価が変わります。
ホテル・旅館のWeb広告運用は、他業種と違ってお金をかけて続ければ予約に繋がるかというとそうでもありません。
広告を出す前に、予約に至るまでの改善ポイントがないか確認をする必要もあります。
メルマガ・公式LINEの活用
検索エンジン経由の自然流入ではなく、自社HPへダイレクトにアクセスする直接流入を促す方法もあります。
例えば、公式LINEのユーザーや自社の会員へキャンペーンなどを打ち出し、自社HPへの直接のアクセスを増やす方法です。
既存の顧客に向けた自社HPへの直接的な誘導はリピーター獲得にも繋がります。ロイヤルティの高いリピーター客こそ、自社HP予約に繋がるターゲットとも言えます。
2.自社HPでの予約転換率(CVR)を上げる
ユーザーの利便性を高める
ユーザーが宿泊予約の際にOTAを選ぶ理由として、情報収集や予約操作の利便性の高さがあげられます。
OTAはフォーマット化されているので施設の比較がしやすく、スマホ対応にも優れており、「ユーザーにとって使いやすい・予約しやすい」を意識して設計されています。
つまり、自社HPへアクセスしたユーザーが、またOTAへ出戻ることを防ぐには、予約に至るまでのストレスをいかに減らすかが鍵になってきます。
- ウェブサイトを最適化する
✓ 予約の導線がスムーズ(知りたい情報がすぐに確認できる等)
✓ レスポンシブ対応が出来ている(スマホ・多言語)
✓ ページの表示速度が速い - 予約フォームを最適化する
✓ ASPでの予約動作がしやすい(予約・確認・変更等)
✓ プラン内容が見やすく比較しやすい
✓ オンライン決済ができる
宿の魅力やウリを表現する
自社HPは宿の魅力や独自の価値、そして顧客の滞在イメージを最大限に表現できる場所です。
宿のコンセプトやそれを具現化する施設・サービスの特徴が伝わる必要があります。写真や動画を上手く活用し、アクセスした人の「泊まってみたい」という気持ちを高める視覚表現になっているかチェックしましょう。これには客観的に見てくれる第三者の目が必要が必要です。
✓メッセージに合った写真・動画が使用されている
✓数字で表現できるものはできるだけ具体的に記載している
✓OTAでは伝えきれない詳しい情報が得られる
(客室紹介なら、時間ごとの写真・間取り・備品情報など)
✓最新かつ正しい情報が記載されている
自社HPで予約するメリットを打ち出す
ユーザーが予約をするときにOTAを選ぶもう一つの理由として「ポイント制度」があります。
楽天トラベルは楽天グループの様々なサービスで使える楽天ポイントが貯まり、じゃらんではホットペッパー系列で使えるリクルートポイントが貯まることでロイヤルティを高めているのです。自社HP予約ではこの強力な「ポイント制度」を上回るメリットが提示されているかが重要になります。
代表的な例では、HP限定プランやベストレート保障等が挙げられますが、付与ポイント・利用ポイントを鑑み、ポイントに関するメリットを選ぶ方も多いでしょう。
この対策として、大手外資系ホテルでは、HP限定プランやベストレート保障以外に、HPから予約したお客様を「会員様」として、現地での優待サービスを受けることができる付加価値で差別化しています。
例えば、食事の際の座席を眺めの良いテーブル席(会員専用席)に案内してもらえたり、会員様専用のチェックイン(優先チェックイン)が出来たり、お部屋に空きがある場合のアップグレードが優先されたり…
このように「会員様」という位置づけで、OTAや旅行代理店経由のお客様との差別化を図り、自社HPからの予約を促しています。
✓ベストレート保障
✓自社HP予約からの顧客=会員様だけの優待サービス
参考元:https://www.mandarinoriental.com/ja/fans-of-mo/benefits-enrolment
参考元:https://www.mandarinoriental.com/ja/offers/best-rate-promise
さいごに
送客手数料への懸念から「OTAでの販売をやめて、オンライン予約は自社HPに特化したい」とご相談いただくことがあります。まさに理想的な姿で、その考えがNGということはありません。ただ、現在の自社HPにおいてOTAからの流入数を無くしてどのくらいの認知、アクセス数を獲得できるか把握していない状態で、OTAの解約を決断することは非常に危険な判断だとお伝えしています。
OTAは自社HP予約を奪っていく「敵」ではなく、多くの人に認知してもらえる強力な集客ツールであるといえます。そうしたOTAの利点を理解した上で、自社HP集客のツールとしてうまく活用できるかどうかが鍵です。
自社HP集客を増やすためには、「HPへどうやったらアクセスしてもらえるか」と「HPへアクセスした人達をどうやったら離脱させずに予約まで誘導できるか」という2つの視点で考える必要があります。
広い層のライトユーザーについては、OTAでの情報発信力を活用してもれなく獲得し、ロイヤルティの高い顧客は自社HPでしっかりと獲得していくことが、利益を最大化する一番の近道ではないでしょうか。
宿研では、ホテル旅館に特化したHP制作が可能です。
各ページから予約に至るまでの導線はもちろん、コンセプトに沿ったデザイン等、自社HP集客に繋がるページ作りを実現します。
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