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宿泊プラン作成で重要な4つのマーケティング視点とは?ニーズ別でみるプラン作成アイデアをご紹介

宿泊プラン作成で重要な3つのマーケティング視点とは?ニーズ別でみるプラン作成アイデアをご紹介

宿泊プランは、宿泊施設のWEB集客において売上アップや利益率向上に欠かせないツールです。しかし、効果的なプランを作るには、ターゲット層のニーズを的確に捉えることが重要です。本記事では、宿泊プランを作成する際に押さえるべきポイントを、ターゲット層やニーズに焦点を当てて解説します。

目次

  1. 宿泊プランとは
  2. 基本プラン以外で宿泊プランを作成する目的
  3. 宿泊プランを作成する際に重要な4つのマーケティング視点
  4. ニーズ別でみる宿泊プランアイデア
  5. さいごに

 


 

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WEB担当者様の宿泊プラン作成時にご活用いただけるチェックリストです。集客効果を高める為のプラン作成時の視点や項目が分かります。

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宿泊プランとは

 
ホテル・旅館の宿泊プランとは、WEB上で販売する宿泊商品のことです。
昨今の自社HPやOTAでは、宿泊施設の宿泊料金、食事内容、その他のサービス内容などを組み合わせたさまざまな宿泊プランが展開されています。集客に効果的な宿泊プランを作成することは、宿泊数の向上や収益の拡大、差別化などにつながります。

 

基本プラン以外で宿泊プランを作成する目的

 
どの宿泊施設にも基本的な軸となるプランがあると思います。素泊まり・朝食付き・二食付きといった、いわゆるスタンダードなプランです。
お仕事の中で一番多いご依頼として「プラン作成」がありますが、ご要望についてより詳しくお伺いすると、実際は宿泊プランを新たに作成するよりも別の手段のほうが、求める効果を期待できるケースよくあります。
プラン作成は、売上目標を達成する為のひとつの「手段」に過ぎないということを忘れてはいけません。まずは、基本プラン以外で宿泊プランを作成する本当の理由や目的から整理していきましょう。

 

 

プラン作成の目的1:認知の向上を図るため

 

宿泊プランを作成し選択肢を増やすことで、ターゲット層の様々なニーズや欲求を満たすことが出来ます。プランに独自性を織り交ぜると、競合他社との差別化を図る手段としても有効です。
そして、ターゲットのニーズを満たす販売プランを用意する目的は、「潜在的な顧客との接点機会を出来るだけ増やすため」という考え方があります。
例えばカップルプランを作ることで、それに絡めた特集へ参画したり、記念日旅行を計画している人のキーワード検索にヒットするようになります。つまり、スタンダードプランだけでは見つけてもらえなかったであろう(特定のニーズ)を持つユーザー達に発見してもらえる可能性が高まります。そして、そのプランから、自社のHPやOTAの施設各ページを踏んで、施設をより深く知ってもらう事ができます。ですので、プルプランから流入して、結果的にスタンダードプランで予約がされたとしても、それは成功だと言えます

 

 

プラン作成の目的2:稼働率を上げるため

 

宿泊プランには、稼働率を上げるために用意するプランもあります。代表的な例が、直前割プランやセールプランなどです。これらは、成約率が高い傾向にあるので、稼働率(予約数の向上)に寄与します。また、予約サイトの特集に関係する場合も多く上記の認知・アクセスの向上も図れます。
稼働率を上げる目的の宿泊プランは、需要が確実にあるニーズに対し作成することがポイントです。需要が少ないものでは稼働率向上にはつながりません。

補足の視点として、マーケティングには、フロントエンドとバックエンドという考え方があります。これは、見込み客をつくる目的として、直前割などの購入のしやすい商品で来訪してもらい(フロントエンド)、現地で付帯売上を高める目的の施策(バックエンド)をセットで考えます。
プランの予約金額だけが売上の全てになるわけではありません。現地で財布の紐を緩め、お金を落とす仕組みをつくっておくことが大切です。フロントエンド、バックエンドの視点があると事業がより戦略的になり稼働率だけでなく、売上向上にもつながることでしょう。

 

プラン作成の目的3:単価を高めるため

 

認知・アクセス数の向上を狙った宿泊プランからページに訪れたユーザーに対し、より単価の高いプランに誘導する目的で作成するプランもあります。高単価プランを作成するときには、そのプランならではの魅力をグッと高めて、他のプランとの価値の違いを強く感じることができるようにする必要があります。
こういった施策はアップセルとも言われますが、高単価プランを準備するだけで良いわけではありません。ページに訪れたすべてのユーザーの目に付くようPRの場所や見せ方に工夫が必要です。

 

以上が代表的な宿泊プランの目的としてあげられます。
よく宿泊施設の担当者の方から、「プランの数はいくつあるのが理想なのか」という質問をよくされますが、「プランの数に正解はありません」とお応えしています。

大切なことは、2つ。
①ターゲットとしているユーザーのニーズや欲求を満たしていること。②宿泊プラン全体を見渡したときに、認知獲得、稼働率アップ、単価アップなど、集客戦略に即した戦術として、プランという手持ちカードで用意されていること。
これらの条件を満たす数がプランの正解数です。現在販売されている宿泊プラン一つひとつの役割を確認してみましょう。目的が明確でなかったり、戦略からブレていたり、過不足がないかどうかを客観的にチェックすることも大切です。

 

 

宿泊プランを作成する際に重要な4つのマーケティング視点

 

宿泊プランはどんどん作ればいいわけではありません。やみくもにプランを増設するのは返って逆効果です。宿泊施設のコンセプトやUSP*とはかけ離れたターゲット層に訴求するプランを作っても、ニーズとのギャップが生じるだけでマイナス効果が高まるからです。そして、たくさんのプランが乱立すると、本来売りたいプランが埋もれてしまう危険性もあります。

では、新しく宿泊プランを企画する際、どんなことを主眼に置いてプラン造成をするべきでしょうか。重要な4つのマーケティング視点をご紹介します。

*USP・・・Unique Selling Proposition 自社の商品やサービスの持つ、独自の強みのこと

 

 

1. USPとマーケットニーズを掛け合わせて探る

 
ホテルや旅館が自社の「売りたいこと・やりたいこと」を軸に企画開発するやり方を、プロダクトアウト型といいます。しかし、このやり方では、顧客のニーズを十分に捉えることができません。値引き施策等の短期的な売上効果があったとしても、長期的には効果が出にくい傾向があります。
そのため、ホテルや旅館は、自社のコンセプトやターゲット、提供している価値を明確にして、「ターゲットが何を求めているか」を軸にプランを企画をすることが重要です。この発送方法はマーケットイン型と呼びます。マーケットインの発想法では、まず顧客のニーズを徹底的に調査し、そのうえで、自社の強みや特徴を活かした企画を考えます。

 

 

2. ニーズをどうやって満たすのかを考える

 

ニーズとよく似た言葉で、ウォンツ(欲求)と需要があります。この3つの意味は明確に異なっておりマーケティング視点では、これらを区別して考えていきます。

宿泊プランを考える際の方法として、ターゲットのニーズを満たすプランだけでは不十分です。多くの場合、競合も同じニーズを満たすプラン(商品)を準備しているでしょう。このようなときには、ニーズをどうやって満たすのか、“欲求”を区別してプランを考える方法があります。

例えば、「地域の料理が食べたい」というニーズに対し、地域の食材を使った料理でプラン化を考えても、それはユニークではありませんし、価値を高めるものにもなりません。きっと高単価での販売は難しいでしょう。
ここでのポイントは、「地域の料理を食べたい」というニーズを「どうやって満たしてあげるか」です。ひと言に「地域の料理を食べる」においても、様々な欲求があります。

・好きな食材があり、それをたくさん食べたい。
・有名な食材のなかでも貴重なものを食べてみたい。
・地域にいくつかある有名な食材を少量ずつでも、すべて味わいたい。
・一緒に行く人に●●を喜んでもらいたい。
・今話題性の高い食材を食べて、承認欲求を満たしたい。など

これらはニーズに対する欲求であり、料理別のプランを作成するときにはこの“欲求”別に考えてみることも必要です。

この例の場合、競合調査では「地域の料理を食べる」という共通のニーズに対し、競合がどのような欲求に根差したプランを用意しているのかをセグメンテーションなどで分析することにより、未だ満たされていない欲求を発見しプラン(商品化)することができます。

 

3.「検索」されることを意識したキーワード設計

 
ユーザーが宿泊プランへたどり着く手段のひとつとして、OTA内での特集検索やキーワード検索、Google等でのキーワード検索、SNSなどでの#(ハッシュタグ)検索等があります。
冒頭でお伝えした通り、基本プラン以外の宿泊プラン作成の目的は、潜在ユーザーとの接点を増やす為でもあります。つまり、そのプランが「検索」されることを念頭に置いて作成する必要があります。
OTAでの特集参画条件でも「指定キーワードの追記」が必要だったり、SEOの対策でもこの「キーワードの選定」は非常に重要になります。その為、プラン内容を考えるときは、宿やプランを探すユーザーたちの検索意図を考慮して、文中やキャプション、タイトルに使うキーワードまで慎重に選定していく必要があります。

 

 

4.「比較」されることを前提としたビジュアル・構成

 
検索結果に表示されて、ユーザーの目に留まったとしても、他社のプランと比較検討されることがほとんどです。プランのアイキャッチ画像やタイトル、リード文等でどれだけ「滞在イメージ」や「価値」を表現できるかが何より重要になります。
プラン内容でも、ユーザーにとって魅力的なポイントは、できるだけ目立つように配置しましょう。そうすることで、ユーザーの滞在時間を長くし、予約につなげやすくなります。

 

 

 

ニーズ別でみる宿泊プランアイデア

 
ニーズ別でみるプランを活用した販売促進のアイデアをご紹介していきます。応用すれば、すぐにでも実施できるものもありますので、ぜひ自社商品の企画にお役立てください。

 

 

1.「食」での体験価値に意味やバリエーションを持たせる

 

宿泊施設で提供しているオプションサービスやコンテンツからスピンオフしてプラン化していく事は、埋もれがちな商品の価値を浮き彫りにする効果があり、新プランを考える際は非常に取り組みやすい手法だと言えます。中でも「食」を絡めたコンテンツは宿泊プランの付加価値を高めるのに非常に適した要素になります。量やライナップを変えることで様々な顧客ニーズに対応出来ますし、現地体験という意味でも食は、切っても切れない関係性を持っているからです。重要なのは食の「何処に価値を置くか」「ニーズをどのように満たすのか」を見極めてプラン化していくことです。
例えば、通常のメニューより量を減らして質をあげたプランを新たに設けることで、シニア層の予約が増えたという事例もあります。他にも地元で活躍する農家・その土地でしか味わえない郷土料理等、現地体験というテーマと料理を掛け合わせて、付加価値の高いプランを開発してみましょう。

 

 

2.「面倒臭い・不便」などのマイナスポイントからヒントを得る

 
ターゲットとするユーザーが旅行中・滞在中に「不便だ・面倒だ」と感じるポイントを想像し、その穴を埋めるサービスを価値としてプラン化する事もできます。このニーズを叶えているプランとして代表的なものは、「コミコミプラン」と呼ばれるものです。
例えば〇〇遊園地のチケット付き/スパマッサージ付き/離乳食付き/〇〇農園いちご体験付き/送迎付き/お夜食付き 等が挙げられます。
食事を提供していない施設でも、周辺の食事処や居酒屋と提携し、食事券付きプランを販売することで、プラン自体に付加価値をつけ、お客様の不便をカバーすることが出来ます。
お客様は、1回の宿泊予約で、不便なポイントを解決してくれるならば、少し値段が上がっても納得して料金を支払います。「このコンテンツは自分たちの領域外だから」と決めつけず、地域の事業者や他社を巻き込んでプランを企画していくことで、より魅力的な商品やサービスを提供できる可能性があります。
ポイントはターゲットの旅行全体をコーディネートする意識です。

 

宿研くん

宿研くん
宿泊行為ではなく、ターゲットの旅行全体をコーディネートする意識です。
ニーズを探る為には、自社で予約するお客様が、周辺観光でどんなところによく訪れているのか、旅マエ・旅ナカ・旅アトに何が面倒だと感じているのかを知る必要があります。そのためにも、宿泊中の悩みに限らず、ターゲットとするユーザーが朝起きてから家に帰る迄の旅行全体にまで視野を広げていきましょう。

 

 

3.季節イベントに合わせた「期間限定」「トレンド」を狙う

 
季節やイベントは、その時期になると、一気にユーザーの関心度が高まり検索される事が多くなります。その為、季節や行事ごとにまつわる「期間限定」の宿泊プランは、一時的なユーザーの「検索」に強い傾向があります。更に、OTAでは「特集企画」にも紐づけやすくなり、アクセス数の強化にも繋がります。

 

季節に関わるイベントの代表例

紅葉狩り・ハロウィン・クリスマス・お正月・忘年会/新年会・いちご狩り・花見・海水浴・花火大会・母の日・成人の日・入学試験・卒業旅行etc…

 

行事ごとに絡めた施設内のイベントや、周辺の観光地、イベント、サービス、料理内容等を絡めて特典等を付けてプラン化し、対象の特集にはもれなく参画しておきましょう。世の中の関心が高まるということは、それだけ比較検討される機会が増えるという事でもあります。プラン内容や写真で「どんな滞在価値があるのか」を明確にかつ魅力的に表現しましょう

 

宿研くん

宿研くん
世の中の関心が高まるのはいつ?を考えてみて
季節のプランは「いつ関心が高まって、いつ予約したくなるか」を意識して早めに準備し、掲載期間と先の在庫提供を計画的に設定する必要があります。また「どんなキーワードや特集から検索してくるのか」を調査してプランタイトルやプラン内容に入れるキーワードを決めていきましょう。

 

 

 

4.人生の「初めての瞬間」や「特別な瞬間」のタイミングを狙う

  
季節イベント行事に限らず、通年を通して必ず誰かにニーズがあるイベントがあります。

年中誰かのニーズがあるイベント代表例

お誕生日・結婚記念日・長寿祝い(還暦等)・赤ちゃんの旅行デビュー・プロポーズ・新婚旅行 etc…

このような人生の「初めての瞬間」や「特別な瞬間」のタイミングは、旅行との相性が抜群です。旅行は、非日常的な体験や思い出作りに最適な手段であるため、このような人生の節目や特別なイベントをテーマにして、特別感のある宿泊プランを用意することで、顧客のニーズに応え、宿泊予約を獲得しやすくなります。

宿研くん

宿研くん
特別な日はリピーター獲得にも繋がる
記念日等の特別な日を祝う為に利用したお客様は、思い出の場所になりやすく、満足度が高いとまた「来年もここで祝おう」という心理にも繋がります。ディズニーホテルでもリピーターのお客様で最も重要視している情報は「結婚記念日」と「誕生日」だといわれています。

 
 
 

5.検索キーワードの情報からトレンドや宿泊ニーズのヒントを得る

 

例えば、ターゲット層がどのような情報を検索するのか、年齢層、性別、興味関心、ライフスタイルなどを考慮して、検索されそうなキーワードを洗い出したり、競合サイトのキーワードを分析したり、サイト内やGoogle上での検索ボリュームを確認することで、トレンドやニーズをあぶりだす方法もあります。
OTAも、いうならばサイト内でSEOのようなキーワード対策をとることが可能です。例えばじゃらんnetではサイト内でユーザーに検索されたキーワードを、回数が多いものから順にランキングが表示されています。1週間単位で更新されていて、その時期のトレンドやユーザーの関心事を知ることが出来ます。

宿・ホテル予約TOP > 宿名・キーワード検索ランキング

参考:https://www.jalan.net/

 

 

さいごに

今回は、宿泊プランの企画のコツや実際にプランを作成する際のアイデアやポイントをご紹介しました。今一度自社のプランタイトル・プラン内容・プラン画像を確認して、是非ブラッシュアップを図ってみてください。

株式会社宿研では、施設様のお悩みや課題点をしっかりとヒヤリングし、目的やゴールを明確にしたうえで、どんなプランを作成するべきか、そもそも新プラン作成で対応すべきか?というところからご相談に乗らせていただきます。
また、施策実行として、OTAや自社HPでのプラン作成・登録代行作業もお手伝いが可能です。新規サイトの立上げや新規登録の代行も行っております。是非お気軽にご相談ください。

 

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この記事を書いた人

はしもとかな

 

2015年入社後、コンサルティング営業室のコンサルタントとして全国のホテル・旅館のWEB集客支援を行う。現在は、宿泊業界のWEBマーケティングを支援するため、宿研通信の運営を担う。施設様のお悩みに寄り添った有益な情報発信を行うべく、日々業界のトレンドや情報の収集・分析を行っている。

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